2007年10月21日(日)「しんぶん赤旗」
「集団自決」検定撤回など要求
5府県24市区町が意見書
高校日本史の教科書検定で、沖縄戦「集団自決」における日本軍強制の記述を文部科学省が削除・修正させたことに対し、検定意見の撤回や見直し、記述回復を求める地方議会が全国に広がっています。本紙の調べでは、二十日までに意見書を可決した自治体は五府県二十四市区町(沖縄を除く)にのぼっています。
沖縄では県議会が二度にわたり全会一致で可決。全四十一市町村でも可決しています。
沖縄以外で最初に意見書を可決したのは、六月二十二日の神奈川県座間市議会でした。「『集団自決は日本軍の強制や関与、誘導なしには起こり得なかった』というのが紛れもない歴史的事実であり、沖縄戦に関する国民の共通認識となっている」とのべています。
他の議会の意見書も「(削除・修正は)体験者による数多くの証言や、歴史的事実を否定しようとするものである」(東京都三鷹市)と指摘。
「沖縄戦で発生した出来事にわれわれは無関心であってはならない」(高知県)「平和を希求し悲惨な戦争を再び起こさないようにするためにも、沖縄戦の実相を正しく伝えることは重要である」(東京都国立市)としています。
京都府宇治市議会は本会議で、検定意見の撤回と記述の回復を求めている沖縄県民大会の決議を「宇治市民の総意として支持する」決議を全会一致で可決しています。
沖縄戦「集団自決」検定の撤回など
意見書可決した議会
沖縄戦「集団自決」にかんする検定意見の撤回などを求める意見書を可決した議会(沖縄は除く)は次の通りです。
府県議会
京都、奈良、三重、福岡、高知
市区町議会
北海道網走市、斜里町、岩手県八幡平市、宮城県気仙沼市、東京都国立市、東久留米市、三鷹市、国分寺市、小金井市、町田市、立川市、杉並区、千代田区、神奈川県座間市、大和市、鎌倉市、新潟県上越市、高知県香南市、土佐清水市、高知市、いの町、四万十町、宮崎県美郷町、高千穂町
沖縄だけの問題でない
東京・三鷹市議会で提案した日本共産党の大城美幸議員(沖縄県出身)の話 この問題は歴史の真実をゆがめるというもので、沖縄だけの問題ではありません。この先にあるのは憲法を変え、戦争する国になってしまうという問題です。
沖縄の人は戦争する国にさせないためにも、ここで立ち上がらなければいけないという思いになっています。遠く離れた沖縄の問題ではなくて自分のこととしてとらえ、感じてほしいと願い、何としても可決させたいと思いました。
私の九十七歳の祖父は戦争体験者です。県民大会に行きたくても行けなかった人の一人です。十一万という数はただの十一万ではなくて、その裏には亡くなった人の思いを持って参加した人や、亡くなった人の思いを持ちながらも行けなかった人もいます。
あの激しい戦火を生き延びてきたおじい、おばあがいるから私たちが今います。そのおじい、おばあが苦しい胸の内を語った戦争体験が、ねじ曲げられることが許せない。それが私の思いの根本にあります。
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