2007年10月17日(水)「しんぶん赤旗」
主張
給油支援
ごまかしはもう通用しない
政府はきょうの臨時閣議で、「新テロ対策特別措置法案」を決定し、国会に提出する予定です。
インド洋での自衛隊の給油支援が米軍のアフガニスタン攻撃を支えてきたことはこの六年の実態をみればあきらかです。高村正彦外相や石破茂防衛相は武力攻撃をする艦船への給油を「当初はやっておりました」と認めたものの、現在は海上阻止活動への支援を「もっぱらやっている」とのべ、新法では海上阻止活動のための給油だけにするようにいっています。この説明がごまかしであることが、日本共産党の小池晃参議院議員の追及で明白になりました。
否定できない武力行使
参議院予算委員会で小池議員は、報復戦争の六年でテロがなくなるどころかテロを世界中に拡散しており、米軍のアフガニスタン空爆などがさらなるテロを引き起こす悪循環をもたらしていると批判するとともに、自衛隊がアフガニスタンを空爆している米艦船に給油している事実を示して戦争支援を追及しました。
昨年九月四日と二十二日には、自衛隊の補給艦「ましゅう」が給油した米強襲揚陸艦「イオウジマ」から飛び立った攻撃機ハリアーが、アフガニスタン領土に向かって十七発もの精密誘導爆弾を投下し、五百発近くも機関砲を発射しました。さらにことし二月には攻撃機スーパーホーネットでアフガニスタン空爆をくりかえす米空母「アイゼンハワー」と行動をともにするミサイル巡洋艦「アンツィオ」に、自衛隊の補給艦「とわだ」が給油しています。
小池議員が昨年九月だけでなく、最近までアフガニスタン空爆を行っている米軍に自衛隊が給油している事実をあきらかにしたことは重大です。日本の油が文字通り空爆に使われて、アフガニスタンの罪なき人々まで殺害しているのです。日本の給油は戦争支援にならないという政府の説明は通用しません。
もともと海上阻止活動(MIO)に従事する艦船に給油するのだから戦争支援ではないというのはごまかしです。アメリカなどが行う海上阻止行動は、国連憲章の精神に反したアフガニスタンへの報復戦争=不朽の自由作戦(OEF)と不可分の戦争であり、アメリカも「アフガニスタンでのテロとのたたかいにおける重要な一部」(二〇〇三年五月の第五回日米調整委員会でのアメリカの説明)だといっています。海上阻止活動をしている米艦船もアフガニスタンへの武力攻撃を実施するしくみになっています。
アメリカは海上阻止活動もOEFも一体でやっている、分けられないことは明らかではないかという小池議員の質問に、政府はついに答えられなくなって、福田首相は「どう説明しても賛成してくれないのだから」とまで言い出しました。文字通り答弁不能です。これでは新法がMIOに限定するなどといっても信頼が置けるはずがありません。
自衛隊は撤退しかない
朝日新聞が十三、十四両日に行った調査によると、自衛隊の給油支援の継続についての質問に、賛成39%、反対が44%と多数を占めています。新テロ特措法についても賛成28%にたいし反対が48%です。自衛隊の給油支援がアメリカの報復戦争の軍事支援になることを、国民の多くが懸念しています。
自衛隊は憲法違反の給油活動をただちにやめ、撤退するしか道はありません。テロを根絶するためには戦争ではなく、国際的な司法や警察の力の強化、貧困、教育などへの支援を本格化すべきです。