2007年10月16日(火)「しんぶん赤旗」
アフガンISAF部隊
派遣国が指揮し武力行使
参加は国連軍でも違憲なのに
アフガニスタン国際治安支援部隊(ISAF)への参加は違憲ではないとの小沢一郎・民主党代表の発言を機に、ISAFの性格と憲法との関係が改めて議論になっています。
小沢発言について日本共産党の志位和夫委員長は、九日放映のCS放送のインタビューで、たとえ正規の国連軍がつくられても、それへの兵力提供は「日本の国家意思としておこなわれる」から「憲法違反であることは明らか」だと指摘しました。同時に、ISAFは「もとより国連軍ではなく、(国連の指揮でなく)派兵した国々の指揮で活動し、その活動は戦争行為そのもの」だから、それへの参加が「憲法違反となることは、あまりにも明瞭(めいりょう)」だと強調しました。(本紙十一日付)
正規の国連軍は
国連憲章第七章に基づき、「平和に対する脅威」や侵略行為が生じ、国連として「軍事的措置」をとると決めた場合に、各国が部隊を派遣し、国連の指揮下で行動することになっています。これが正規の国連軍です。
国連軍に各国が兵力を提供する場合は、「各自の憲法上の手続に従って」、安全保障理事会との間で「特別協定」を結ぶことが義務づけられています(国連憲章四三条)。正規の国連軍はまだ一度もつくられていませんが、「国権の発動たる戦争」だけでなく「武力による威嚇又は武力の行使」も放棄した憲法九条をもつ日本が、こうした協定を結べないのは明らかです。
ましてやISAFは、安保理決議を根拠にするものの、武力行使を想定し、指揮権は派兵国が握る国際軍=「多国籍軍」であり、憲法が禁止する武力行使そのものです。国連憲章の規定から大きく離れたISAFへの参加が、憲法に反しないはずはありません。
ISAFの展開の経過をみれば、それがよく分かります。アフガンでは、米国による「対テロ報復戦争」(作戦名「不朽の自由作戦」)で二〇〇一年十二月にタリバン政権が崩壊し、国連の仲介で暫定行政機構がつくられました。それを受け、「(首都)カブールとその周辺地域の安全確保の面でアフガン暫定行政機構を支援し、同機構と国連要員が安全な環境で活動できるようにする」(安保理決議一三八六)目的で結成されたのがISAFです。
NATO指揮権
ISAFは当初、六カ月ごとに任期が更新され、英国、トルコなどが相次いで指揮。〇三年八月からは北大西洋条約機構(NATO)が指揮権を握っています。
報復戦争とテロの悪循環でアフガン情勢が泥沼化するもと、ISAFは〇四年から〇六年にかけて、時計の針の逆回りの形で活動範囲をアフガン全土に拡大。現在は、米国主導の「対テロ報復戦争」と連携して、タリバンなどへの掃討作戦を展開しています。
そのような「戦争行為そのもの」を実行するISAFへの参加は、「憲法違反という大問題にくわえて、アフガン問題の解決のうえでも有害」(志位委員長の前出インタビュー)です。(坂口明)