2007年10月14日(日)「しんぶん赤旗」

立川ビラ弾圧事件

市民黙らせたい

警察と陸自思惑が一致 情報保全隊が積極関与

“2、3日くさい飯食えば変わる”


 警察の依頼で被害届の提出を調整、ビラ投かん者の面割りに協力―。自衛隊の立川宿舎(東京都立川市)にビラを配った市民団体メンバーが逮捕された立川ビラ弾圧事件の重要な局面には、自衛隊の情報保全隊の姿がありました。本紙が十二日付で報じた同隊内部文書(陸上自衛隊東部方面情報保全隊作成)からは、弾圧事件における同隊と警察の共謀関係、同隊が市民団体に対して行った執ような監視・情報収集活動の実態が浮かび上がります。


 情報保全隊は、宿舎にビラ配布した市民団体「立川自衛隊監視テント村」を敵視し、二〇〇四年二月の逮捕以前から長期にわたる情報収集を行っていました。

顔写真など収集

 文書は逮捕された三人を含め、市民団体のメンバーやその関係者として計六人の顔写真を掲載。

 写真は背景の様子から、デモや宣伝活動の際に撮影されています。いずれも、メンバーの顔に焦点をあわせており、容ぼうを記録する目的で撮影したことがわかります。

 顔写真の隣には氏名、生年月日、住所、本籍、職業などが記されていました。「街頭宣伝および集会・デモにも頻繁に参加」「Aと行動を共にしていることが多い」(Aは氏名)などの記述もあります。

 文書から、情報保全隊が、メンバー逮捕のための具体的作業に携わっていたこともわかりました。

 「1・22 立川署から派遣隊に調整依頼」と題した項目によると、立川宿舎居住者がビラ投かんを目撃した五日後、立川署が東部方面情報保全隊立川派遣隊に、自衛隊内での“調整”を依頼していました。

 内容は「被害届けの提出」「実況見分立会」「面割協力」の三点です。事件では宿舎管理者が被害届を提出していますが、その背後で情報保全隊が“調整”したというのです。

 事件は現在、最高裁で審理中ですが、情報保全隊の関与はこれまで明らかにされてきませんでした。

目的は言論弾圧

 逮捕の目的が、言論弾圧にあったことも記されていました。

 文書は警察の「捜査員の談」を、こう紹介しています。「我々としてはテントの構成員に2〜3日くさい飯を食ってもらいたいんですがね。そうすれば、テント村も多少変わってくると思うんです」

 情報保全隊に詳しい自衛隊関係者は「市民団体を黙らせたかったのは自衛隊側も同じだ」と指摘。「当時は自衛隊のイラク派遣に対して、さまざまな団体が反対行動を起こしていた。自衛隊や情報保全隊には、市民団体の宣伝やデモを止めたいという思惑があった」と話しています。


■立川ビラ弾圧事件の経過
2003年
10月12日 市民団体メンバーが自衛隊の立川宿舎へ月1回のビラ投かんを開始
12月13日 市民団体メンバーが立川宿舎にビラ投かん
17日 警視庁立川署が陸上自衛隊立川駐屯地、東立川駐屯地に対してビラ投かん者の現行犯逮捕のため協力を依頼。ビラ投かんを目撃した際の110番通報と被害届提出を求める
19日 空自宿舎管理者が依頼文書を入居者に配布し、ビラ投かん者を目撃した際の110番通報、連絡を求める
22日 陸自、空自の宿舎管理者が、13日のビラ投かんに対し被害届を提出
24日 陸自東部方面情報保全隊立川派遣隊などの立会いのもと、立川署員8人が立川宿舎のフェンスや集中郵便受けなどを「実況見分」
26日 陸自宿舎管理者が「宿舎便り」を入居者に配布し、ビラ投かん者を目撃した際の110番通報、連絡を求める
2004年
1月17日 市民団体メンバー3人が立川宿舎にビラ投かん。自衛官3人が目撃
22日 立川署が情報保全隊立川派遣隊に、被害届の提出、実況見分の立会い、ビラ投かん者の面割りについて調整依頼
23日 陸自、空自の宿舎管理者が2度目の被害届を提出
2月22日 市民団体メンバーが立川宿舎にビラ投かん
27日 立川署が住居侵入の容疑で、市民団体の事務所やメンバー宅など6カ所を捜索。メンバー3人を逮捕
※太字部分は今回、新たに陸自東部方面情報保全隊の内部文書で明らかになったもの

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