2007年10月12日(金)「しんぶん赤旗」
自衛隊が警察と共謀
立川ビラ弾圧事件 2カ月前から逮捕仕組む
本紙が内部文書入手
依頼・調整、現場下見も
自衛隊の情報保全隊が広範な市民を対象に監視活動を行っていた問題で、本紙は新たに、同隊が警察と共謀して、自衛隊宿舎にビラを投かんした市民団体メンバーの逮捕を仕組んだことを示す内部文書を入手しました。情報保全隊に詳しい自衛隊関係者は「狙いは市民団体を黙らせることにあった」と指摘しています。自衛隊・情報保全隊と警察が一体となった市民弾圧の謀略が明るみに出ました。
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情報保全隊と警察が仕組んだのは、自衛隊の立川宿舎(東京都立川市)にビラを配布した市民団体「立川自衛隊監視テント村」のメンバー三人が二〇〇四年二月に住居侵入の容疑で逮捕された「立川ビラ弾圧事件」です。
本紙が自衛隊関係者から入手したのは、陸上自衛隊東部方面情報保全隊が作成した「立川自衛隊監視テント村構成員の逮捕」と題するA4判十七枚の文書。同文書には、情報保全隊と警視庁立川署が、市民団体メンバーを逮捕するために相談・調整を行った様子など、当事者しか知りえない情報が記されていました。
役割具体的に
文書によると、市民団体メンバー逮捕の約二カ月前の〇三年十二月十七日、立川署から自衛隊側に「現行犯逮捕の協力依頼」がされています。依頼内容は「配布・投入している者を見たら110番」「自衛隊からビラを配布・投入され困っているという形で被害届け」の二点でした。
さらに一週間後の二十四日には、東部方面情報保全隊立川派遣隊など自衛隊側の立ち会いのもと、「立川署による立川宿舎実況見分」が行われたと記しています。参加した立川署員は八人。調べたのは「宿舎周辺道路幅、フェンス、集中郵便受、階段等」としており、逮捕に向けての下見だったと思われます。
長期的に監視
〇四年一月十七日、宿舎に住む自衛官が市民団体メンバーによるビラ投かんを目撃すると、同二十二日に「立川署から派遣隊に調整依頼」があったとしています。「派遣隊」とは情報保全隊立川派遣隊のことで、内容は「被害届けの提出」「実況見分立会」「立川駅頭での情宣活動時に面割協力」など具体的作業の依頼でした。
文書にはほかに、市民団体メンバーらの顔写真、氏名、住所、本籍、職業、各メンバーの同団体での役割などを掲載。情報保全隊が市民団体に対して長期的な監視活動を行っていたことがうかがわれます。
立川ビラ弾圧事件 自衛隊立川宿舎に「自衛隊のイラク派兵反対!」などと題したビラを投かんした市民団体メンバー三人が〇四年二月、住居侵入容疑で警視庁立川署に逮捕された事件。メンバーらは調べに対して黙秘し、勾留期間は約二カ月半に及びました。一審の東京地裁八王子支部は「刑事罰に値する違法性はない」として無罪、二審の東京高裁は罰金十万―二十万円の逆転有罪判決を言い渡しました。現在は最高裁で審理中です。