2007年10月11日(木)「しんぶん赤旗」

主張

地球温暖化対策

日本の対応が問われている


 先月末の国連主催の気候変動ハイレベル会合やアメリカ主導の温暖化ガス主要排出国会合に続いて、年末にかけて、専門家による政府間パネル(IPCC)や気候変動枠組み条約の締約国会合(COP13)など、地球温暖化防止のための国際的な会合が相次いで開かれます。二〇一二年までの先進国の温暖化ガス削減目標を掲げた京都議定書の達成期間が来年一月から始まるのを前に、京都議定書の目標達成を確実なものにするとともに、議定書後の一三年以降に向けた新しい枠組みについての検討が、大きなヤマ場を迎えています。

温室効果ガス削減に

 異常気象や生態系の破壊をもたらす地球の温暖化が、二酸化炭素など人為的な温室効果ガスの排出によるものであることは、いまや疑う余地のないものになっています。十一月に開かれるIPCCの総会では専門家の新しい報告が取りまとめられる予定ですが、これまで相次いで発表された作業部会の報告でも、世界の平均気温は百年間に〇・七四度上昇したなどと、温室効果ガスの排出が異常気象をもたらしていることへの強い警告が示されています。

 問題はどのようにして温室効果ガスの排出を抑え、温室効果ガスの排出による環境悪化を抑える「低炭素社会」を実現していくかです。一九九七年に京都で開かれた気候変動枠組み条約の締約国会合は、先進国は二〇〇八年から一二年までの間に、温室効果ガスを一九九〇年に比べ6%削減するという京都議定書に合意しました。期限まであと四年しかありません。目標達成には、一刻の猶予も許されません。

 世界の人口では二割にすぎない先進国は、温室効果ガスの排出では六割を占めます。しかも先進国の中でも最大の排出国アメリカは、京都議定書から離脱してしまいました。アメリカを含め先進国の排出を削減することが、地球温暖化が防げるかどうかの鍵を握っています。

 同時に、京都議定書に含まれなかった中国やインドなど、「共通だが差異ある責任」をうたっている途上国も含めて、一三年以降の温室効果ガスの排出を抑える枠組みをどうつくるかも、大きな課題となっています。

 ヨーロッパの先進国が参加するEU(欧州連合)はすでに二〇二〇年までに温室効果ガスを20%削減するという目標を打ち出しました。温室効果ガスの排出規制に反対してきたアメリカも、世界の世論に押されてようやく温暖化対策に取り組みつつありますが、先月開いた一連の会合でも、依然として総量規制の目標設定には消極的です。

 問われているのは日本です。日本は先進国の中でアメリカなどに次ぐ排出大国で、議長国としても京都議定書に責任を負わなければならない立場にもかかわらず、排出削減の効果が上がっておらず6%削減どころか逆に7・8%も排出量が増えています(〇五年)。日本が「抵抗勢力になる」という声が聞こえるほどです。

まず日本が目標達成を

 日本はまず、京都議定書で定めた6%削減の目標達成に全力を挙げるべきです。そのためには国内での排出量の六割以上を占めるエネルギー・産業部門での削減対策を日本経団連の「自主」計画任せにしているのはやめ、政府と経済界の間で削減協定を結び達成責任を公的に裏打ちするなど、抜本的な対策に取り組むべきです。同時に、アメリカを含む先進国の削減達成への働きかけを強め、途上国を含めた新しい枠組みづくりでも役割の発揮が求められます。



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