2007年10月10日(水)「しんぶん赤旗」

主張

「給油」論戦

戦争支援がよりはっきりした


 衆議院予算委員会での「報復戦争」支援をめぐる政府と自民党議員の質疑を聞きました。

 双方が強調したのは、インド洋での自衛艦による給油活動は戦争ではない、アフガニスタン国内での武力行使とは違う、日本の石油確保のため必要―というものです。国民をとりこむために知恵をしぼったのでしょうが、この論理にはムリがあります。自衛隊の給油活動は「不朽の自由作戦」という名のアメリカの「報復戦争」を支援する参戦行為です。戦争と無関係というまやかしは通用しません。

給油あっての攻撃作戦

 石破茂防衛大臣は、自衛隊の給油活動を戦争とは関係ないようにいう一方、「武力行使を伴うISAF(国際治安支援部隊)に参加するのは憲法上許されない」とまでのべました。民主党の小沢一郎代表が、ISAFは国連安保理決議にもとづくものなので日本の参加は「憲法に抵触しない」と雑誌論文でのべたことについてふれたものですが、民主党批判という形であれ、ISAFが武力行使を任務としていることを認めたことは重要な意味をもっています。

 NATO(北大西洋条約機構)軍が中心のISAFは、いまやアメリカの「不朽の自由作戦」と一体で、地理的にも任務の上でも無限定の空爆や武力掃討作戦を実施しています。激しい戦闘で各国兵士の戦死の数も増大するばかりです。

 米軍は地上戦だけでなく、インド洋からも攻撃を強めています。米海軍のホームページをみると、今年に入ってからでも、空母「ステニス」や「ジョージ・ワシントン」から攻撃機が出撃し、無差別爆撃をくりかえしています。米軍の攻撃はISAFと文字通り一体であり、ISAFの行為が憲法上参加が認められない武力行使だというなら、アメリカの「報復戦争」支援も許されないことになります。

 日本政府は戦争の実態を隠し、自衛隊が給油する相手のアメリカなどの艦船がやっているのは戦争でなく、海上阻止作戦だといいたいようですが、これはとても通用しません。アフガニスタンを攻撃しているアメリカの軍艦への海上自衛隊の給油の実態は、アフガニスタンへの「報復戦争」支援そのものであり、攻撃作戦を促進させる支援だからです。

 たとえば、海自の補給艦「ましゅう」は昨年九月四日に、米強襲揚陸艦「イオウジマ」に給油しました。この直後から二十一日まで、「イオウジマ」搭載の攻撃機ハリアーが出撃し、アフガニスタンにたいして百三十六回もの攻撃をしたことが米海軍ニュースで明記されています。日本が提供した油が、アフガニスタンの空爆を支え、罪のない民間人を殺すために使われているのです。事実をゆがめて国会と国民をあざむく政府の責任は重大です。

ごまかしはもうやめよ

 政府・与党は、日本に給油支援をやめろという国はないといいます。アフガニスタンでの攻撃を続けるため、日本に給油を要求してきたアメリカが日本に中止を求めるはずがありません。憲法にもとづき戦争支援をやめると堂々というべきです。

 政府は給油正当化のために、中東で買った油が通過するシーレーン(海上交通路)が重要という新たな口実をもちだしています。福田首相は「生命線」とまでいいました。日本の権益を守るためなら遠くインド洋まで軍艦を派遣するのが「生命線」論であり、日本を海外で戦争する国に変えるとんでもない暴論です。



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