2007年10月9日(火)「しんぶん赤旗」
環境ビジネス
補助金受け自民に献金
06年 大企業20社 1億1000万円
民主党にも3社200万円
地球温暖化対策や新エネルギー開発事業で国から補助金を交付された大手企業二十社が昨年、自民党に一億一千万円以上、民主党にも二百万円の献金をしていることが八日、本紙の調べで明らかになりました。いずれも政治資金規正法で禁止された、補助金交付から一年以内の献金で適正さが問われます。
献金の大半は自民党の政治資金団体「国民政治協会」に集中しており二十社一億一千五百十三万円にのぼります。民主党の政治資金団体「国民改革協議会」には三社二百万円が提供され、あわせて一億一千七百十三万円です。
献金側の企業は、トヨタ自動車(六千四百四十万円)、日野自動車(千八百十万円)、王子製紙(千百万円)、松下電工(五百万円)など、日本を代表する大企業が名を連ねています。
百七十二万円を献金した大和ハウス工業は四億四千万円の補助金を受け風力発電機を九基建設しました。同社は「補助を受けた企業の献金が規制されているとの認識がなかった」といいます。
献金企業のなかには、補助対象事業が「利益目的ではないから献金は適法」と主張するところも少なくありません。
環境省の温暖化対策起業支援事業で松下電工は、「発光ダイオード(LED)照明用高出力・長寿命ユニット製造事業」に一億一千万円の補助を受けました。同社は「利益をともなわない研究開発と解釈している」としています。
しかし、同社をはじめ各社の事業は、“環境ビジネス”として利益に結びつくものです。しかも、補助金の原資である税金が献金のかたちで政党に流れる“税金還流”の構図です。
総務省政治資金課の担当者は、個別企業の適法性についての見解は避けましたが「献金する企業は、規正法を厳格に守ってもらわないと困る」とのべました。
補助金企業の献金禁止 政治資金規正法は、補助金が交付された企業に、補助金の交付決定通知を受けた日から一年間、政治献金を原則禁止しています。補助金を支給する国と受け取る企業が、政党・政治家を通じて癒着しないようにするためです。補助対象案件が「試験研究、調査」や「性質上利益をともなわない」などの場合は献金禁止の適用外になることもあります。
国民政治協会への補助金受給企業の献金
《新エネルギー事業者支援対策事業》
トヨタ自動車 6440
日野自動車 1810
王子製紙 1100(100)
日本製紙 500
東陶機器 300
大和ハウス工業 172
住商リース 110
キユーピー 70
関東自動車工業 50 (50)
豊田合成 50 (50)
明治乳業 50
愛三工業 50
日本製薬 48
大日精化工業 40
前田道路 25
レンゴー 9
《自主参加型国内排出量取引制度》
サントリー 139
三菱製紙 30
大建工業 20
《地球温暖化対策起業支援事業》
松下電工 500
合計11513
(注)単位は万円。カッコ内は民主党の国民改革協議会への献金
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