2007年10月8日(月)「しんぶん赤旗」

主張

アフガン侵攻6年

戦争やめ政治的なとりくみに


 アメリカが「9・11」同時多発テロ(二〇〇一年)から一カ月後の十月八日未明(日本時間)、テロ勢力をかくまっているという理由でアフガニスタンのタリバン政権への武力攻撃を開始してから六年たちました。

 戦争でテロはなくなるどころか、情勢は逆に悪化しています。

 日本共産党が同時多発テロ直後に各国政府に送った二度の書簡で指摘したように、「テロ行為と武力報復の悪循環をもたらし、事態を泥沼に導く」事態になっています。根本的な見直しが求められています。

戦争でなく法の裁きで

 「9・11」翌日の国連安保理決議一三六八は、同時多発テロを「国際の平和及び安全にたいする脅威」と認めたうえで、「テロ攻撃の実行者、組織者および支援者を法に照らして裁くために緊急に共同して取り組む」ことを国連加盟国に要請しました。国連は戦争でなく、法の裁きでテロ勢力を処断する道を示していたのです。

 安保理決議一三六八はもちろん今年九月の安保理決議一七七六も、自衛権を理由にして始めたアメリカの「報復戦争」を容認していません。「報復戦争」はアメリカのあだ討ちのための戦争であり、国連が容認しないのは当たり前のことです。

 九月発表の国連事務総長のアフガニスタン情勢報告は、全県数の約五分の一にあたる七十八県が「きわめて危険」で「国連機関の立ち入りが不可能」といっています。

 米軍はインド洋から空母艦載機などによる空爆を再び強め、NATO中心の国際治安支援部隊も戦闘を強化しています。テロと武力報復の悪循環がいよいよ抜き差しならないところまできています。

 悲惨なのは民間人です。今年だけで一千人の被害です。

 人道復興活動も深刻です。赤十字国際委員会は「主要都市以外では被害者への安全な接近をはかることがきわめて難しい」といい、日本政府も、首都カブールなど一部をのぞき邦人の退去を勧告しています。

 日本政府はアメリカのアフガニスタン侵攻直後から「報復戦争」を支持し、テロ特措法を制定して米軍などへの給油支援をおこなってきました。戦争支援が憲法と国連憲章の精神に反したことは明白です。

 日本の支援が米軍の無差別殺りくに手を貸してきたことは、昨年九月、自衛隊が給油した米強襲揚陸艦「イオウジマ」の搭載機ハリアーがアフガニスタン空爆をくりかえし、多くの民間人を殺りくしたことでもあきらかです。

 しかも、日本の給油がテロ特措法にすら違反してイラク戦争にまで流用されていたとなればなおのこと重大です。政府は「報復戦争」支援を中止し、海上自衛隊をインド洋から撤退させるべきです。

テロの温床をなくす

 国連は、「軍事対応」から「政治的とりくみ」にきりかえ、テロの根源をなくすための政治的・経済的・社会的行動が必要だと強調しました。

 いま日本がなすべきことは、日本共産党の志位和夫委員長が代表質問でも示したように、「報復戦争」支援ではなく、テロ根絶の方途を政治解決を中心にした道に切り替えるための外交努力をおこなうこと、テロの温床になっている貧困・飢餓をなくすなどの民生援助を強めて、テロが生まれる根源を除去することです。

 こうした問題に積極的にとりくむことこそ、憲法にそった日本の貢献策であり、アフガニスタンでの出口のない泥沼から抜け出す道です。


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