2007年10月6日(土)「しんぶん赤旗」
きょう大統領選
ムシャラフ氏 軍離脱を表明
与野党が活発なかけひき
パキスタン
【ニューデリー=豊田栄光】パキスタンの大統領(任期五年)の選挙が六日におこなわれます。現職のムシャラフ大統領のほか、元最高裁判事や野党パキスタン人民党候補が出馬しています。選挙は国会議員と州議会代表による間接選挙。与党が多数を占めるためムシャラフ氏の再選は確実視されています。
最大野党・統一行動評議会(MMA)やシャリフ元首相派などは二日、ムシャラフ氏が参謀長のままで立候補したことと、任期満了間際の議会が大統領を選出することに異議を唱え、議員を辞職しています。
ムシャラフ氏はシャリフ前政権の汚職や独裁的な政治に対する国民の不満が高まるなか、陸軍参謀長の職にあった一九九九年に無血クーデターで政権を掌握しました。二〇〇一年に大統領に就任し、翌年の国民投票で五年間の続投が承認されました。同年には総選挙を実施し、軍事政権からの脱却を図りました。
ムシャラフ大統領が軍参謀長を兼務し続けたことに対し、野党は軍人の政治関与を否定した憲法に違反すると批判を続けてきました。ムシャラフ氏は今回の再出馬にあたって、再選されれば参謀長を辞任し、文民として職務をすると表明しています。
ムシャラフ政権は、啓蒙的で穏健なイスラム社会づくりを掲げて経済社会の安定をめざし、一定の成果をあげてきました。野党勢力は、米国の対テロ戦争への協力とそれにともなう治安の悪化、民主主義の問題で政府を批判。加えて最近の物価高騰による国民生活の困窮が批判材料になっています。
ムシャラフ大統領はここ一年間、野党第二党パキスタン人民党(PPP)のブット元首相と水面下での交渉を続けてきました。パキスタン政府とPPPは四日、和解協定で合意し、近く大統領令として布告される見通しです。
ムシャラフ大統領はブットPPP総裁の汚職容疑での訴追を撤回し、権力分担でも合意したとも報じられています。ブット氏は自身を首相、ムシャラフ氏を大統領とする体制を模索してきました。
ブット氏は現在ロンドンに亡命中で、十八日に帰国し、年内にもある総選挙へ向けて政治活動を再開する予定です。同氏は、ムシャラフ氏が陸軍参謀長のまま六日の大統領選挙に立候補したことを非難していましたが、四日の記者会見では、同党国会議員の辞職見合わせを表明しました。