2007年10月4日(木)「しんぶん赤旗」
「集団自決」強制
検定撤回は県民の思い
沖縄知事ら文科相に要請
高校日本史の教科書検定で沖縄戦の「集団自決」に日本軍の強制があったとする記述が削除された問題で、沖縄県の仲井真弘多知事らが三日、渡海紀三朗文部科学相と同省で面会し、検定意見の撤回と削除された記述の復活を要請しました。
この問題で、文科相が同県関係者と直接会うのは初めてです。仲里利信県議会議長は「沖縄県民百三十七万人の同じ思いを受け止めてほしい」とのべ、県民大会(先月二十九日)で採択された決議文を手渡し、知事も要請文を渡しました。
同席した沖縄県婦人連合会の小渡ハル子会長は「子を産み育てる母親としてゆがんだ教育はできない。沖縄戦の経験者として真実を後世に伝えていかなければならない」と訴えました。
渡海文科相は「大変重く受け止める。検定制度に政治介入があってはならないが、皆さんの気持ちを反映させるよう関係者で知恵を出したい」とのべる一方、「検定を守ることも大事。即座に返事することはできない」と答えました。
知事ら一行は岸田文雄沖縄・北方担当相と面会、首相官邸や衆参両院議長も訪ね、同様の要請を行い、日本共産党の赤嶺政賢衆院議員が同行しました。
国会内で記者会見した仲里議長は「正直言ってもっと前向きな発言があるかと思った」と語りました。
文科省が三月に公表した検定結果によると、五社七点の教科書で、日本軍による強制で住民が「集団自決」したとする記述に初めて検定意見が付き、各教科書会社が強制の表現を削除しました。
沖縄県内で反発の声が高まり、県議会と全四十一市町村の議会が検定撤回を求める意見書を可決。先月二十九日には、約十一万人が参加した県民大会が開かれました。
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