2007年10月2日(火)「しんぶん赤旗」
ネオナチ 社会問題化
ユダヤ教徒襲撃相次ぐ
イスラエル
【カイロ=松本眞志】ユダヤ教徒が76%を占めるイスラエルで、ユダヤ人排斥を主張するネオナチの影響が社会問題化しています。最近、中部の都市ペタハティクバでは、厳格なユダヤ教を信仰する住民がネオナチに襲撃される例が相次いで報告されています。
九月八日にはネオナチの若者八人が逮捕されました。これらの若者はユダヤ教会を破壊し、ユダヤ教徒やアジア系労働者を襲撃するなどの暴行をはたらいたとされます。イスラエル警察は、銃や爆弾のほか、ナチス式の敬礼をする若者の写真などを押収しました。
事件はイスラエル全国に衝撃を与えました。イディオト・アハロノト紙は一面で、「信じられない」との大見出しで報じました。
イスラエルのネオナチは、一九九〇年代に旧ソ連崩壊にともなってロシアから移住してきた住民の子ども(十六歳から二十一歳)が大半を占めているといわれています。
イスラエルでは、祖父母の一人がユダヤ人であれば自動的に国籍が付与される「帰還法」があり、移住後にも各種補助金が支給されるなどの「優遇」措置があります。
このためユダヤ人を装ったロシアからの移民や、ユダヤ教徒ではないユダヤ系ロシア住民の数が増大したとされています。これらの子どもが、いまではユダヤ人主体の社会になじめず、“少数派”として孤立し、「反ユダヤ」のナチズムに傾倒しているとの見方もあります。