2007年10月1日(月)「しんぶん赤旗」

激戦必至 ライバル対決

第38期将棋新人王戦U―26

決勝三番勝負 4日から

「しんぶん赤旗」主催


 居飛車党本格派の村山慈明四段(23)の攻めの強さか、振り飛車党の中村亮介四段(22)のさばきが勝るか、勝てばともに初の新人王獲得となる対決となりました。若手棋士最強の座を争う第38期将棋新人王戦U―26決勝三番勝負が4日から始まります。


居飛車党の村山か 振り飛車の中村か

 今回は、前回と同じく決勝に臨むのはともに初めて、四段同士の対決となりました。

 第一局は四日、東京・千駄ケ谷の将棋会館でおこなわれます。立会人は第十七期新人王の塚田泰明九段です。

 村山四段は準々決勝では前期新人王戦で準優勝した同門の兄弟子、横山泰明四段を下しています。準決勝で、奨励会の加来博洋三段を破っての決勝進出となりました。

 中村四段は準決勝で片上大輔五段に逆転勝ちして決勝に進出しました。相手の片上五段には前期準々決勝で敗れており、雪辱を果たした形です。妹の中村桃子女流2級が今月、女流棋士としてデビューし、村田智弘五段・智穂女流初段以来二組目となる兄妹棋士誕生と話題になりました。

 村山四段は大崩れしない長期戦に強いタイプの棋士で、今年度の通算成績は15勝5敗、勝率は7割5分と全棋士中第6位。今年度の継続中連勝ランキングでは八月から九月にかけて7連勝で1位になっています(九月二十九日現在)。

 中村四段はアマチュアにも人気の振り飛車を得意戦法とする棋士です。四段昇段から三年半、通算成績は75勝51敗で勝率は5割9分5厘ですが、今年度に入ってからは11勝6敗、6割4分7厘と好成績を上げています(同)。村山四段との公式戦対局は、この決勝三番勝負第一局が三回目となりますが、これまで中村四段が二勝しています。

 両者が真っ向勝負で火花を散らす決勝三番勝負、どちらも楽には勝てないし、容易には負けないでしょう。激戦、熱戦必至の同世代決戦にファンの期待が高まります。


借りを返す場

 村山慈明四段の話 新人王戦とは相性が悪く一回戦敗退続きでしたが、今期は秋山太郎赤旗名人に勝ってから気持ちが楽になり苦手意識が薄まってのびのびと指せました。私は急戦は好まず持久戦の将棋です。居飛車穴熊対振り飛車の将棋になるのでしょう。出方次第で急戦になるかも。中村四段には公式戦で勝ってないので借りを返す場ができたと思っています。

 【村山慈明(むらやま・やすあき)四段】東京都出身。桜井昇八段門下、二〇〇三年十月四段。

流れは自分に

 中村亮介四段の話 番勝負は初めてなのでうれしいと同時に精いっぱい力を出したいと思っています。準決勝では苦しい将棋を逆転できたので流れが自分にきていると思います。村山四段とは藤井先生(猛九段)の研究会でも指していますが、お互いが相手を研究しているので互角のたたかいになりそうです。決勝三番勝負では二連勝で新人王を取りたいですね。

 【中村亮介(なかむら・りょうすけ)四段】埼玉県出身。高橋道雄九段門下、二〇〇四年四月四段。


見どころは? 観戦記者に聞く

一手勝ちの勝負

 木屋太二さん 二十二歳と二十三歳の同世代の二人のライバル対決になりました。どちらも作戦を考えていると思いますが、戦型、たたかい、一手争いと見どころの多い勝負になるのではないでしょうか。二人とも勝率も高く、いまの若手の最高水準が見られます。終盤にどちらが一手勝ちできるかのきわどい勝負になりそう。

急戦見られるか

 蝶谷初男さん 四間飛車一本やりの中村と、居飛車党の村山ですので、戦型はほぼ決まっているといえます。村山の居飛車穴熊が濃厚と思いますが、できれば急戦を見てみたいところです。ともに図太い精神の持ち主ですから、初の番勝負も気にならず、普段どおりに指せるでしょう。熱戦は間違いありません。

3番勝負の日程

第1局  10月4日(木)
第2局   同12日(金)
第3局   同19日(金)
場所はいずれも東京・将棋会館

図

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