2007年9月30日(日)「しんぶん赤旗」
都市部の医師らがシンポジウム
広がる「医療難民」
背景に医療費抑制
“「医療難民」「お産難民」が広がる背景に、長年の政府の医療費抑制政策がある”――「都市部に求められる地域医療を考えるシンポジウム」(同実行委員会主催)が二十九日夕、東京都新宿区の紀伊国屋ホールで開かれ、医師や看護師ら約四百人が参加、パネリストらの指摘に耳を傾けました。
シンポでは、医療法人永生会の安藤高朗・理事長、川崎市立井田病院の鈴木厚・地域医療部長、医療法人千葉県勤労者医療協会の石川広己理事長、東京医科大学の泉美貴・病理診断学講座講師の四人のパネリストと、東北大学経済学部の日野秀逸教授(コーディネーター)らが報告しました。
鈴木さんは「医療がおかしくなった原因は、政府が国民の医療にお金を出したくない政策をとっていることにある。医療はサービスではなく安全保障だ。自衛隊に金を使うよりも、国民の命を守る最前線の医師・看護師にこそ金を使うべきだ」と指摘。
石川さんは「都市部でも深刻化している医師不足や勤務医の長時間労働の原因に、勤務医・看護師の絶対的不足がある」と話しました。
女性医師の泉さんは「なぜ、女性医師が離職するのか」と問題提起。「患者のために二十四時間・三百六十五日働く『聖職』として、医師の仕事を女性に強いるのでは、女性は妊娠も子育ても家庭も放棄しなければならない」と批判。女性医師の労働条件を整備することが急務であることを訴えました。
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