2007年9月29日(土)「しんぶん赤旗」
日曜版がスクープ
福田首相事務所が領収書変造
群馬なのに電話は東京?
あて名消して支部の判
福田康夫首相の政治資金・選挙費用の収支報告書に添付された領収書に、あて先の書き換えなど多数の変造が見つかった――。「赤旗」日曜版九月三十日号のスクープ報道が反響を広げ、福田首相も二十八日、「最高責任者として汗顔の至りだ」と事実を認めました。首相は「事務的ミス」としていますが、そんな弁明ですむ問題ではありません。(三浦誠、山田健介)
首相認める
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この問題は、日曜版編集部が情報開示請求で群馬県選管から領収書コピーを入手して明らかになりました。
変造された領収書は、福田氏が支部長の「自由民主党群馬県第四選挙区支部」の政治資金収支報告書(二〇〇三年、〇四年、〇五年分)と、総選挙の選挙運動費用収支報告書(〇三年と〇五年)から発見されました。
領収書のあて先をわざわざ二重線で消し、「自由民主党群馬県第四選挙区支部」や「福田康夫選挙事務所」の判を押していました。また、「白紙」と見られる領収書に、あて先として同じ判を押したものも多数ありました。それぞれことなる領収書の発行元が、おしなべて同じ判を押すことは常識ではありえないことです。
税務署で通用せず
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領収書は、発行する側が相手先を記入してこそ真正なものと認定されます。あて先を勝手に改ざんしたり、白紙にあて先を記入したりすれば、税務署では通用しません。こうした疑惑の変造領収書は二百枚以上、合計金額一千万円を超えるほど見つかりました。
たとえば、東京都内の高級うなぎ店が〇四年四月三十日に発行した領収書の元のあて名は、福田氏の資金管理団体「千代田経済懇話会」(東京都)。これを二重線で消して「自由民主党群馬県第四選挙区支部」の判が…。
また、〇三年十一月の選挙運動費用で、地元の酒店が発行した「福田経済研究会」あての約十八万円の領収書が書きかえられ、「福田康夫選挙事務所」の判が押されていました。
福田事務所の代理人「企業税制研究所」の朝長英樹代表理事は、「領収書等の宛名の書き換えは、本来は先方(領収書の発行者等)にお願いすべきところではありますが(中略)先方にご負担をかけづらい事情から、福田事務所にて行っております」と事務所による領収書変造を認めました。
説明責任果たさず
また、福田首相は二十八日、「事務的によくなかったが、不正ではない」と釈明し、「厳しく自らを律することが、わたし自身も必要だ」と語りました。しかし、事務的ミスで、不正ではない――という姿勢自体が厳しく問われます。
政治資金オンブズマン共同代表の阪口徳雄弁護士は日曜版紙上で、「店側が記入したあて名を、了解や承諾なしに書き換えたとすれば文書変造罪にあたる」と指摘しています。
「変造した領収書を政治資金や選挙運動費用の収支報告書に計上すれば虚偽記載で罰則もあります。政党支部には税金である政党助成金が入っており、そんないいかげんな領収書で支出されたら、国民はかないません」と。
領収書の変造が横行すれば、真実の支出先を隠すために、別の領収書を持ってくるという事態も起こり得ます。税金である政党交付金を受けとる政党支部を舞台にした問題だけに、福田首相は、真相をきちんと明らかにする責任があります。
また、福田首相には、政党支部と政治団体の事務所費についても、〇五年分が前年の約三倍に急増するという問題があります(日曜版九月二十三日号)。これについても、福田事務所は、「(事務所費の内訳について)回答は控えさせていただきます」という態度。これでは、松岡元農水相と同じです。
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