2007年9月28日(金)「しんぶん赤旗」

都内でも“出産難民”

病院探し3時間余

数日後死産


 「まさか都内二十三区に住んでいてこんなことになるとは」。出産する病院が見つからない「出産難民」が全国で問題になっています。首都・東京都でも、区内在住の女性(37)が、都内に受け入れ可能な病院がなく、川崎市の大学病院に決まるまで三―四時間もかかり、搬送入院したものの数日後に死産する痛ましい事例がありました。二十七日の都議会で日本共産党の小竹ひろ子都議がとりあげ、都に緊急対策を求めました。


「医師不足は深刻」

小竹都議が緊急策要求

写真

(写真)質問する小竹ひろ子都議=27日、都議会本会議

 荒川区在住のこの女性は、昨年十一月末、破水。妊娠二十二週目、極小未熟児でした。午前八時半ころ、かかりつけの産院に行きましたが、設備の整った病院に搬送しなければ赤ちゃんの命が危険にさらされます。

 産科院長は、赤ちゃんの生存率が格段に高まる、出産前の搬送が最善と判断。NICU(新生児特定集中治療室)がある病院を探し、都内の病院十数カ所に連絡をとりましたが、早産であることや、対応できる医師の不在などを理由に受け入れてもらえませんでした。

 女性が川崎市の病院にたどり着いたのは、破水から六時間近くたってからでした。

 「ごめんね、ごめんね」。女性は亡くなった赤ちゃんにこう繰り返し、泣くばかりだったといいます。

 小竹氏は「背景にあるのは深刻な医師不足だ」と指摘。医学部卒業後に都内で働くことを条件にした奨学金制度、離職中の医師の再就職を促進するドクター・バンク、女性医師の仕事と家庭の両立支援の実施などを提案しました。

 また、石原慎太郎都知事が、周産期医療の中核施設となっている都立の小児病院の廃止計画をすすめるもとで、産科休診や新規受け付け停止をしている都立病院が相次いでいること、都立から公社に移管した病院でも産科が休診となっている実態も示し、「都立病院として医療体制を立て直すことこそ急務」と強調。「都立病院の医師は激務にもかかわらず、給与は全国の自治体病院で最低レベル」とのべ、医師不足打開にむけ、給与などの待遇改善や、女性医師が働き続けやすい条件整備などに取り組むよう求めました。

 安藤立美福祉保健局長は、小竹氏があげた事例について「都としては、さらに本事例における病院選定などの事実を精査し、検証していく」と答弁。「よりよい連携システムを検討する」と、小竹氏が求めた病院と診療所との連携促進に前向きの姿勢を示しました。



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