2007年9月28日(金)「しんぶん赤旗」
バブル期の1.75倍
大企業、空前のもうけ
給与は9年連続減
大企業は空前の大もうけを更新しつづけ、経常利益をバブル期の一・七五倍に伸ばしているのに、民間企業のサラリーマンの平均給与は九年連続で減少―財務省と国税庁が二十七日、それぞれ発表した調査結果から対照的な姿が浮かび上がりました。
財務省が同日発表した二〇〇六年度の法人企業統計調査によると、資本金十億円以上の大企業の経常利益は、前年度比11・6%増の三十二兆八千三百四十二億円となりました。大企業の経常利益が前年を上回るのは五年連続。バブル期の一九九〇年度と比べると約一・七五倍に増加しています。
一方、大企業の従業員の一人あたりの給与は、前年度比0・44%増の五百九十一万円。九〇年度比では一・〇八倍と低迷しています。人件費を抑制することで、企業収益を拡大させていることがわかります。
大企業の空前の利益は、株主への配当に還元されています。同調査によると大企業の配当金計は、前年度比39・4%増の十一兆九千七百五十億円となりました。配当金は、九〇年度比で約四・一七倍まで急増しています。
個人への配当金は証券優遇税制によって、その額にかかる税額が大幅に軽減されています。大企業が配当金を増額し、従業員給与を抑制することによって、所得税収の空洞化を招いています。
大企業の税負担(法人税、法人住民税、法人事業税、その他)は、経済情勢や相次ぐ大企業減税によって、九〇年度以降低迷しました。経常利益は大幅に伸びているのに、大企業の税負担は、同〇・九九倍にとどまっています。
法人税率を九〇年度の水準に戻すだけでも約四兆円、研究開発減税などの政策減税をただせば、あわせて約五兆円の財源が確保できる計算になります。
06年平均給与300万円以下38%
国税庁調査
民間企業に勤める人が二○○六年の一年間に得た平均給与は、前年より一万九千円少ない四百三十四万九千円で、九年連続で減少したことが二十七日、国税庁のまとめで分かりました。一方、源泉徴収された所得税の総額は、定率減税半減の影響で9・9%増の約九兆九千億円となり、三年連続で増加しました。
史上最高の利益を更新する大企業とは対照的に、サラリーマンは給与が減り続ける上に税負担も増えている実態が浮き彫りになりました。
国税庁によると、一年を通じて勤めた給与所得者数は0・2%減の四千四百八十四万五千人。給与総額も0・6%減の百九十五兆百五十三億円で、ともに二年ぶりに減少へ転じました。
給与所得者のうち三百万円以下の割合は38・8%。平均給与が過去最高となった一九九七年に32・2%まで減りましたが、その後増え続けています。百万円以下も8・0%となって八三年の水準に戻るなど、低所得者の割合が高まっています。
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