2007年9月27日(木)「しんぶん赤旗」

自立支援法実施1年半

障害者は悲鳴 施設は危機

日本共産党の影響調査から


 障害者自立支援法が二〇〇六年四月に実施されて一年半。日本共産党国会議員団が二十六日に発表した影響調査は、同法による障害者や施設・事業所の厳しい現状を明らかにし、障害者自立支援法の抜本的な見直しが急務であることを鮮明にしました。


負担増

月1万円以上が6割

 「障害を好きでもったわけではありません。このままでは、お金のない人はどうにでもなれという感じがします。安心して暮らせるように障害者自立支援法を根本から見直してください」(長野県・通所授産施設)――。調査用紙に書き込まれた切実な声です。

 調査結果によると、定率一割負担の導入で多くの障害者が過酷な負担増を強いられ、サービスの利用抑制をはじめ深刻な影響が出ています。

 同法は、障害者が施設などのサービスや医療を受けたときの利用料などについて、施設でかかった費用の一割と食費と光熱費を自己負担とするなど、定率一割負担(応益負担)を導入しました。

 サービス利用時の負担増(給食費を含む)はどのくらいになったのでしょうか。

 最も多いのが月額「一万円以上二万円未満」で利用者の41・6%。同「二万円以上三万円未満」が11・4%、同「3万円以上」が6・3%で、これらを合わせた月一万円以上の負担増は、利用者の六割にもなりました。

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サービス

「利用中止」1.5倍に

 負担増を理由に、施設などのサービス利用に影響の出た人のうち「中止した」人は八十三人、「日数を減らした」人は百十八人。影響の出た人のなかで「中止した」人の割合(出現率)は1・4%で、党国会議員団が昨年六月に実施した調査のときは0・9%でした。じつに一・五倍と大幅に増加。負担増がサービス利用の抑制につながっていることがはっきりしました。

 負担増による利用者の生活の変化についての自由回答では、「施設利用を中止、減らした」「外出を控えるようになった」「趣味に使うお金を減らした」「給食を断り、弁当を持参して別室で一人で食べている」など、厳しい生活実態が数多く寄せられています。

 また、同法の問題点について「サービスを自己選択できる仕組みというが、山間の地では選ぶほどサービスはない。山間に住む人はうかばれない」(鳥取県・生活介護施設)という声も寄せられています。

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施設・事業所

減収1〜2割台 62%

 障害者自立支援法は、施設・事業所への報酬を切り下げました。そのため、施設・事業所の運営は深刻な危機に直面していることがわかりました。

 事業所収入が減収していると回答した事業所に減収幅を聞いたところ、同法実施前に比べて「一割台」と「二割台」の減収と答えた事業所はあわせて61・9%。「三割以上」の事業所も一割近くありました。

 「収入減への対応」としては、「賃金の切り下げ」など、労働条件の切り下げを余儀なくされている実情が数多くの事業所から寄せられました。

 このため、「人材不足」もいっそう深刻化しています。この一年間(〇六年度)で離職した職員が「いる」と回答した事業所は半数を超えています。離職者数・職員定数を明記してきた七十四事業所では、離職者は職員定数の18・2%。今春(〇七年四月)の職員募集では、「募集人数に足りなかった」が66・3%になりました。

 「年収二百万円台の職員がほとんど。良い支援ができないだけでなく、職員確保が困難。若い人は結婚できないし、結婚したい人、子どものほしい人は辞めざるをえない。官製ワーキングプアをつくっている」(京都府・知的通所授産施設)という声も出ています。

 今回の調査では、在宅サービスの実態も質問。訪問系の五十二事業所から回答がありました。

 同法実施前に比べて「水準は維持されている」との回答は35・5%。「サービスが制限され後退している」が64・5%にのぼりました。

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 第二回調査の実施期間・回答数など 実施期間は〇七年八月三十日から九月二十一日まで。アンケート用紙の回答は四十都道府県百七十二施設・事業所。同施設・事業者の利用者は全体で五千七百九十八人。党国会議員団は同法施行直後の六月に第一回調査を行いました。



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