2007年9月26日(水)「しんぶん赤旗」
政治とカネ
自民新3役いずれも?
伊吹幹事長 事務所費うやむや
政権を投げ出した安倍首相の後を継いで、二十五日発足した福田康夫内閣。政権を支える自民党三役には派閥の領袖をそろえましたが、いずれも「政治とカネ」の問題で、「?」マークがついています。
文部科学相から幹事長に就任した伊吹文明氏(衆院京都1区)。家賃がいらない議員会館に資金管理団体「明風会」の「主たる事務所」を置きながら、「事務所費」として二〇〇五年に約四千百四十六万円を計上していたことを、本紙が一月三日付で報道、大問題になりました。
ところが、八月末の安倍改造内閣で文科相に留任。「高額の事務所費疑惑について、伊吹氏から、国民が納得できる、きちんとした説明がされたという認識は我々にはありません。次々に出る疑惑に埋没してか、うやむやのままです」(「朝日」八月三十一日付「声」欄)というのが、率直な国民の思いです。
〇六年分の政治資金収支報告書でも、前年より約八百十一万円減ったものの、約三千三百三十五万円の事務所費を計上、その額は、七月の参院選で落選した自民党の金田勝年前議員に次ぐ「第二位」。
伊吹事務所は「経費を積み上げた結果」として、内訳を東京・平河町と京都にある計三つの事務所賃料などが約二千万円、通信・交通費などが約四百万円、文書・印刷費が約二百五十万円、その他が約六百万円など―と説明しています。
伊吹氏は、二月十六日の衆院予算委員会で、「事務所費」には、▽選挙の準備活動と後始末に非常勤の職員を雇う(人件費)▽秘書が後援会の人と食事する会食費▽東京の秘書が地元に行ったときの活動費なども含まれていると答弁しましたが、それらは、本来、事務所費に計上すべきではないものです。
伊吹氏は、ことし二月六日付で、「明風会」の「主たる事務所」を、東京・平河町の関連政治団体「明友会」の所在地に移していますが、疑惑が消えたわけではありません。
谷垣政調会長
光熱水費に「付け替え」
政調会長になった谷垣禎一元財務相(衆院京都5区)は、参院選後の八月七日、資金管理団体「政経文化協会」の〇三年分収支報告書を訂正しています。安倍内閣の改造・自民党役員人事を前に、駆け込み訂正しました。
訂正の中身は、東京・平河町の全共連ビル地下一階にある資金管理団体の「事務所費」二百九十六万八千二百二円から二万千七百三十二円を減額し、ゼロだった「光熱水費」を二万千七百三十二円に「付け替え」したもの。費目として間違えようのないもので、説明のつかない訂正です。
二階総務会長
無償の事務所記載せず
総務会長に留任した二階俊博氏(衆院和歌山3区)も駆け込み訂正した一人。代表を務める「自民党和歌山県第三選挙区支部」が、支援者から事務所を無償で提供されているにもかかわらず、収支報告書に記載していませんでした。
二階氏が代表で、泉信也国家公安委員長が会計責任者を務める二階派の政治団体「新しい波」が、準大手ゼネコンの元幹部が設立した政治団体にパーティー券を売りながら、その収入計百六十六万円を収支報告書に記載していなかったことも明らかになっています。
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