2007年9月25日(火)「しんぶん赤旗」

財布4つで1億円

福田自民党新総裁 不透明な収支も


 自民党の新総裁に選出された福田康夫元官房長官(衆院群馬4区)。政治資金を集める「財布」=政治団体を総務省所管分と地元・群馬県選管分で計4つ持ち、各政治団体間の資金の移動を除くと、2006年に総額1億850万円のカネを集めていることがわかりました。その活発なカネ集めの中身をみてみると―。


企業献金と税金

 福田氏が代表の「自民党群馬県第四選挙区支部」(群馬県高崎市)は、企業・団体献金と、国民の税金を原資とする政党助成金を受け入れる窓口です。

 四千五百五十七万円の収入のうち、企業・団体献金は千七百五万円で、個人献金は会社役員二人からの四十二万円にすぎません。

 五万円以上の献金をして企業・団体名が記載されているのは、地元群馬県のほか、東京、京都、大阪などの五十団体。献金元がわからない五万円以下の献金が約17%にあたる二百八十五万円にのぼり、広く薄く集めていることをうかがわせます。

 自民党本部から六回にわたって計千六百万円の交付金を受け取っていますが、うち、四回計一千万円が、国民の税金である政党助成金でした。

 支出では、地元の高崎市、藤岡市などの自民党支部に計三百四十万円を寄付、“票田”に目配りしています。

2回で5千万円

 五千二百十一万円を集めた資金管理団体「千代田経済懇話会」(東京・虎ノ門)は、同じ場所に事務所を置き、六百五十三万円を集めた関連政治団体「福田経済研究会」と共催して「新政研21フォーラム」というパーティーを東京・赤坂プリンスホテルで二回開催、約五千万円の収入。かかった費用は、わずか七分の一の約七百四十万円という荒稼ぎぶりでした。

 千六十一人がパーティー券を購入していますが、政治資金規正法で報告が義務付けられている二十万円超の購入者の記載はなく、購入者はいっさい不明です。

 日本医師会の政治団体、日本医師連盟から両団体で計三百万円の寄付をもらっています。

同名の政治団体

 驚いたのは、群馬県選管にも総務省所管と同じ名前の「福田経済研究会」があったこと。事務所の所在地は、「第四選挙区支部」と同じ。千代田経済懇話会から三回にわたって計千二百四十万円の寄付を受け取っており、独自の収入は、「事業収入」の四百二十九万一千円。二回開いた「会合会費」というものですが、経費の支出の記載はありませんでした。

 千代田経済懇話会は、「組織対策費」の名目で、約四百六十七万円の支出がありますが、領収書の必要な五万円以上の「会合費」「会議費」名目で、永田町近くの料亭やすし店などへの支出が記載されていたのは、計三十回、約三百八十七万円でした。約八十万円の支出の中身は不明です。

 第四選挙区支部と、高崎市の福田経済研究会には、組織対策費に、支出先がわからない五万円以下の支出があわせて百四十五万円もありました。

公開なぜ消極的

 福田氏が新総裁に選出された二十三日、高崎市の事務所には、集まった約三百人の支持者に赤飯とたる酒が振る舞われましたが、これは、どういうカネで賄われたのか―。

 「政治とカネ」の問題で焦点になっている政治資金の領収書を一円から公開することについて、福田氏は、「すべて公開した場合、政治活動のすべてが表にでてしまう」と、きわめて消極的です。福田氏の収支報告書をみると、「なるほど」と思わせます。

図

図中の写真は群馬県高崎市の福田事務所。奥の建物が「自民党群馬県第四選挙区支部」と「福田経済研究会」



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