2007年9月23日(日)「しんぶん赤旗」

自民党総裁選 狂騒の10日間


 告示(十四日)から十日間にわたった自民党総裁選の狂騒が二十三日午後の両院議員総会での投票で幕を閉じます。

 〇…「いまの自民党は背水の陣だ。一つ間違えたら自民党の将来はなくなるという覚悟で臨んでいる」。福田康夫元官房長官は二十二日夕、東京・銀座での最後の街頭演説を同情を求めることばでしめくくりました。

 しかし、安倍晋三首相のヤブから棒の辞任表明で始まった“ポスト安倍”選びの自民党総裁選の十日間は、福田氏のことばとは裏腹に国会と国民をないがしろにしたやりたい放題でした。

37億円が空費に

 〇…まずは首相の職責をほっぽり投げた安倍首相とそれを許した自民党の国民と国会に対する無責任。国民主権にもとづく国権の最高機関である国会の存在をこれほど軽々しく扱ったことは過去の自民党にも見られません。

 国民に実害も及ぼしました。

 ――自民党総裁選のため衆参両院で審議が全面ストップ。このため空費した国会予算は「東京」二十日付試算によるとざっと三十七億円なり。このツケは国民の税金にはね返ります。「自民党に税金返還訴訟でも起こしたいくらいだ」という街頭の有権者の声も聞かれました。

 ――自民党の本部総裁選選挙管理委員会事務局が把握した分だけでNHK、民放合わせてテレビの特番の放送時間は合計十時間以上。二十三日の投開票日の中継放送を含めばさらに長時間になります。特定政党のトップ選びに国民の共有財産である電波がジャックされ、自民党総裁選びを見ることを強いられました。

約束手形を乱発

 〇…一方、自民党内はといえば――。「クーデターまがいの動きがあった」「いや相手陣営の謀略だ」。不意の短期決戦の総裁選だけに、これまでにも増して福田、麻生両陣営の間で激しい火花が散りました。優位を伝えられる福田支持陣営ではポスト(役職)の“約束手形”が乱発されました。

 両陣営とも国会近くの別々のホテルに構えた“裏選対”事務所を司令塔に相手陣営の切り崩しを展開。二十三日は両陣営とも支援者とともに昼食つきの出陣式で気勢を挙げて、総裁選投票の両院議員総会へなだれ込む予定です。

 〇…「総裁選による政治空白を生んでいることに党員・党友も怒っている」との報告をうけて、両陣営が国民に配慮してわずかな軌道修正をはかったのは最終盤になってからでした。二十日の福田陣営の拡大選対会議の席上では「福田氏の演説は国民、有権者、党員にたいする謝罪のことばからはじめよう」と手直しされました。

 年金不安、格差・貧困で“背水の陣”に立たされているのはほかならぬ国民です。優位に立つと伝えられる福田氏ですが、期待をつなぐ国民は多くはないでしょう。


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