2007年9月22日(土)「しんぶん赤旗」
「改革のエンジン」自称していたが
公明党が「修正」要求!?
自らを「改革のエンジン」と称し、貧困と格差を広げた弱肉強食の「構造改革」路線の旗振りをしてきた公明党が、参院選の結果を受け「修正」を口にし始めています。
北側一雄幹事長は十九日の記者会見で、「小泉―安倍の改革路線は維持するが、やはり修正していくべきところがある」(公明新聞二十日付)と表明。「弱者や庶民に『痛み』を与えてしまったことについて、配慮が不足していたのではないかと反省せざるを得ない」と「反省」を口にしました。
この発言を受け二十日の公明党中央幹事会は「連立政権協議に臨むに当たって」(公明新聞二十一日付)を発表。「修正」のポイントとして、障害者自立支援法の抜本的見直し、母子家庭への児童扶養手当の一部削減の凍結、七十五歳以上を対象に創設する後期高齢者医療制度で家族の扶養親族者からの保険料徴収凍結、七十―七十四歳の医療費窓口負担の一割から二割の引き上げ据え置き―などを挙げました。
無視できず
これらの政策は、参院選で日本共産党も見直しを求めてきたものであり、参院選で示された「構造改革」路線への怒りを公明党も無視できず、一定の譲歩を余儀なくされたものです。
しかし、「構造改革」のどこが間違っていたのかの「反省」はどこにもありません。
これまで、大企業・大資産家には最高税率の引き下げなどで減税する一方、国民には増税・負担増で「痛み」を強いる「構造改革」を自民党とともに推進してきたのが公明党です。
公明党は、障害者が生活するために必要な福祉サービスに原則一割の「応益負担」を導入する障害者自立支援法を、「障害者の方々の所得水準が低く…資産の保有また年金水準も低い」(福島豊衆院議員、二〇〇五年七月八日)という実態を認識しながら、「(応益負担は)公平性を確保するという観点から大事なこと」(同)といって推進しました。
母子家庭への児童扶養手当の削減も、公明党は「母子家庭の平均年収は伸び悩んでおり、高い人で二百三十万円程度。一般世帯の三分の一という低水準にとどまっている」(沢たまき参院議員、〇二年十一月十九日)ことを知りながら、母子家庭の「自立促進」を理由に強行しました。
「高齢者の負担を軽減する観点から」(「連立政権協議に臨むに当たって」)見直すという高齢者医療についても、法案審議の際には「超高齢化社会を展望した新たな医療制度への大きな一歩」(加藤修一参院議員、〇六年三月二十七日)と手放しで絶賛したのです。
財源示さず
このように庶民の「痛み」を承知で「構造改革」のアクセルをふんできたのが実態です。公明党が真剣に「反省」を口にするのなら、「修正」などでお茶を濁すのではなく、「構造改革」路線そのものの見直しこそ必要なはずです。
ところが、北側氏は「小泉―安倍の改革路線は維持しなければならない」「負担は避けて通れなかった」と開き直り、「連立政権協議に臨むに当たって」でも「社会の激変に対応した改革を政治は責任をもって断行していかなければなりません」と宣言します。
これでは、国民は引き続きわずかな「負担緩和」と引き換えに、さらに大きな「痛み」を押し付けられることになりかねません。現に今回の公明党の「修正」案は財源を示していません。