2007年9月21日(金)「しんぶん赤旗」
弁護士・子ども 劇で「いじめ」
生徒が“はばたける”学校づくり考えよう
「舞台全体を見渡して動いて!」「いまのところ、もう一度」。演出家の野太い声が響き渡るなか、弁護士と子どもたちが熱心に演技をする姿がありました。二十二日に東京都内で上演される「もがれた翼パート14 地図のない教室」の練習風景です。
この演劇は、東京弁護士会が中心となって、子どもたちとともにつくっています。電話相談「子どもの人権110番」に寄せられた少年事件やいじめ、虐待など、子どもの人権をめぐるさまざまな問題を、より多くの人に知ってもらおうと子どもの権利条約が批准されたことをきっかけに、一九九四年から始まりました。
二〇〇四年には、この上演を通して、親の虐待などで安全に暮らせない子どもを一時的に保護するシェルター「カリヨン子どもの家」も誕生しています。
十四回目となる今回のテーマは「いじめ」。
中学二年生で、高校生の役に挑戦している男子生徒(13)は、「家でもセリフの練習をしています。役が自分と似ているところがあるので、そのままの自分を出すことができる。頑張りたい」と意気込みを語ります。
三回目の出演となる女子生徒(17)は、いじめられていた子が、いじめる側に回る役です。「いじめる側は、からかっているだけのようでも、いじめられる側には大きなこと。携帯やネットでのいじめは、なかなか表に見えてこないけど、こういうことがあるという意識をもつだけでもずいぶん違うと思います。たくさんの人に見てもらいたい」と話します。
この公演を担当し、電話相談も受けている佐藤香代弁護士はいいます。「いじめに明確な解決策はありません。あるケースではうまくいった解決策も、ほかのケースでうまくいくとは限らない。ましてや加害者だけに厳罰を科しても解決しません。子どもにとって、どういう学校づくりが必要なのか、この劇を通じて、いろいろな立場の人が一緒に考えるきっかけにしてほしい」
公演は二十二日(土)に昼の部(午後二時開演)、夜の部(午後六時開演)の二回。いずれも東京芸術センター天空劇場。