2007年9月21日(金)「しんぶん赤旗」

主張

「報復戦争」支援

安保理決議で正当化できない


 国連安全保障理事会は、アメリカのアフガニスタン「報復戦争」にたいする日本を含む各国の貢献に「謝意を表明」する決議を採択しました。アフガニスタンで活動中の国際治安支援部隊の任期を一年延長する決定に便乗してもりこまれました。「報復戦争」も日本の支援も決議で正当化することはできません。

アメリカの戦争

 決議は、自衛隊がインド洋でおこなっている米軍艦艇などへの給油活動をなんとしても継続させたい日米両政府が画策したものです。野党が参議院の多数をにぎり、憲法違反のテロ特措法の延長を許さない国会状況になったのは、国民の審判によるものです。国連を使って参議院選挙で示された民意をふみにじるのは認められることではありません。

 自衛隊の給油活動は、二〇〇一年の「9・11」テロにたいするアメリカのアフガニスタン「報復戦争」への支援です。テロ根絶といいながら、戦争を禁止した国連憲章の精神に違反して「報復戦争」に訴えることも、それへの軍事支援も許されるべきことではありません。

 アメリカは個別的自衛権の発動だといって国連と無関係に「報復戦争」をはじめました。テロ直後の安保理決議一三六八は、「9・11」テロを「国際の平和及び安全に対する脅威」と認定しましたが、アメリカの「報復戦争」にお墨付きを与えたわけではありません。それどころかこの決議は、「テロ攻撃の実行者、組織者及び支援者を法に照らして裁く」ことを国連加盟国に求めています。「法の裁き」でテロ勢力をおいつめることを要請されているにもかかわらず、アメリカはこれを無視し、あだ討ちのための「報復戦争」に訴えたのです。一九七〇年に国連総会が採択した、「復仇(ふっきゅう)行為(=あだ討ち)」禁止の「友好関係宣言」に違反しています。

 NATO(北大西洋条約機構)諸国が集団的自衛権を発動して、アメリカの戦争に参戦したことも、米軍やNATOの部隊に自衛隊が給油支援することも、安保理決議や国連憲章の精神に反していることは明白です。新しい決議をしたからといって、「報復戦争」とその支援を正当化できると思ったら大間違いです。間違ったことをしてもあとで追認されるのでは国際正義も秩序も成り立ちません。日本政府が今回の安保理をばねにテロ特措法の延長や新法をおしつけるのは、誤りを重ねるだけです。

 「対外公約」だといって自衛隊の給油支援活動の継続を押し付ける議論も重大です。自民党総裁選挙で候補者の福田康夫元内閣官房長官は「対外公約になっているのでその約束を果たす」といっています。同じく麻生太郎自民党幹事長も「義務と責任がある」といっています。

 二人とも憲法や日本としての主体性をどう考えているのかと見識を疑いたくなります。日本は国連に加盟するとき、憲法が許す範囲で国際社会に貢献すると宣言をし、それが認められて加盟しました。アメリカやNATO諸国の一部から軍事貢献を求められても堂々と拒否することこそ求められる態度です。アメリカいいなりで、主体性のない態度では国の針路のかじ取りはできません。

6年間を直視せよ

 戦争でテロをなくせないことは「報復戦争」の六年間が証明しています。テロ特措法の延長もテロ対策立法もテロ行為と武力報復の悪循環を助長するだけです。

 戦争でなく、「法の裁き」でテロを追い詰めていくことが不可欠です。



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