2007年9月18日(火)「しんぶん赤旗」
薬害根絶へ集う
加害者に頭下げるつらさ
こんな思い もう最後に
C型肝炎
薬害C型肝炎訴訟の原告・弁護団は十七日、東京都千代田区の星陵会館で、早期全面解決を目指す集会を開きました。
集会は、C型、B型肝炎訴訟判決で明らかになった国の責任について弁護団から報告を受けて、運動の到達点と今後の展望について討論。原告が訴えました。
九州訴訟原告の女性は「被害者が二度にわたって座り込みをしないと私たちの声を聞いてもらえない。厚生労働省前では出てきた職員に『お願いします』と加害者に頭を下げなければならない。こんなつらいことはありません。一日も早い早期解決を望みます」と、声を詰まらせて訴えました。
名古屋訴訟原告の女性は「国は、薬務行政の怠慢のためにウイルス性肝炎を増やした責任を認め早期解決をお願いします」とのべました。
大阪訴訟原告の女性は、高額のために途中で治療を断念せざるを得なかった悔しさを語りました。そして「国の支援は欠かせない」と、最終解決とすべての患者の救済を求めました。
薬害肝炎全国原告団代表の山口美智子さんは「全国の原告は百七十一人にすぎません。大阪高裁が和解を勧告し、最後のヤマを迎えています。すべての患者が救われるように頑張ります」と決意を表明しました。
日本共産党政策委員長の小池晃参院議員と高橋千鶴子衆院議員は「国は責任を認め謝罪すべきだ。薬害肝炎訴訟の最終解決とすべてのウイルス性肝炎患者の救済・薬害の再発防止体制確立を目指して頑張る」などと激励するメッセージを寄せました。
ヤコブ病
薬害ヤコブ病への理解と薬害根絶を訴える「ヤコブ病サポートネットワーク北海道集会2007in札幌」が十六日、札幌市の北海道難病センターで開かれ、薬害根絶に取り組む人たちや市民ら六十人が参加しました。
汚染された脳硬膜の移植で起きるクロイツフェルト・ヤコブ病は治療法が確立していません。薬害ヤコブ病裁判は全国で百八件が提訴され、百三件で和解が成立しています。新たな発症者は毎年報告され、国と加害企業の責任追及、被害者の支援が続いています。
集会では、全国から集まった薬害ヤコブ病の被害者と支援者・弁護団が薬害根絶への取り組みを話し合いました。
埼玉県の女性(56)は昨年七月、中学校長をしていた夫(当時五十五歳)を亡くしました。「十八年前の脳手術で硬膜移植をされていたと聞き、本人も私も驚きました。脳が委縮し、ヤコブ病と判明して二カ月足らずで逝きました」と涙ながらに語りました。長女の(26)は「こんなつらい思いは、自分たちで終わりにしてほしい」と訴えました。
三浦綾子記念文学館長の三浦光世氏が「難病の妻・三浦綾子とともに歩いた道」と題して講演しました。
三浦氏は、苦労を喜びに変え、いつも希望を持って生きた作家・綾子さんの姿を語りました。読んでほしい本のひとつとして、小林多喜二とその母を描いた小説「母」をあげ、「息子を権力の拷問で殺された母の思いを読んでください。戦前、日本は天皇を神として絶対化しました。あってはならないことです」と語りました。