2007年9月17日(月)「しんぶん赤旗」
「敗北認めぬ米大統領」
アラブ紙が増派発言批判
対イラク
【カイロ=松本眞志】ブッシュ米大統領が十三日に行ったイラクにかんする報告で、「情勢は改善し、敵から主導権を奪い、兵力の増派が功を奏している」と発言した問題について、エジプト紙アルゴムフリア十五日付の社説は「占領軍がイラクの泥沼に陥っているにもかかわらず、ブッシュ氏は敗北を認めることを拒み、自らが始めた悲惨な侵略行為を次期大統領に引き継ごうとしている」と批判しました。
同紙は「いまわしい遺産を引き継ぐ次期米大統領の任務は、流血と虚偽に満ちたブッシュ氏の任期の実態を明らかにすることだ」と指摘しました。
カタール紙ペニンシュラ十五日付は社説で、ブッシュ氏がイラクでの「成功」を強調しながら兵力削減を認めたことについて、「米国人の圧倒的多数がイラクでの勝利を信じていないことを反映したものだ」と強調。ペトレアス駐イラク米軍司令官らが唱える「宗派間暴力の抑止」「内戦の回避」「部族指導者の協力による自治の支援」は、米国が当初かかげた「西側型議会政治にもとづく平和で統一したイラク」に比べて限定された目標に修正されたと指摘しています。
ヨルダン紙アッドストール十五日付は「イラクを占領する米国への審判」と題する社説で、「米占領軍はイラクを廃虚にし、何万人もの人々を殺害した。米国内外やアラブ諸国では占領を批判する声が高まり、世界中の三分の二の人々が米軍のイラク撤退を希望している」と主張しました。
同紙は、米軍のイラク占領に大義がないとの審判が下っているにもかかわらず、ブッシュ演説がこれらの「真実を否定した」として非難。ブッシュ氏に対してイラクからの全面撤退の行程表を持つよう強く訴えました。
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