2007年9月16日(日)「しんぶん赤旗」
イラク情勢報告
治安など改善示せず
米大統領が議会に提出
【ワシントン=鎌塚由美】ホワイトハウスは十四日、イラク情勢についてブッシュ大統領が米議会に提出した報告を公表しました。ブッシュ大統領は前夜のテレビ演説で、イラク情勢の「前進」を強調しましたが、報告ではイラクの厳しい現実を認めるものとなっています。
報告は、戦費法に基づき、大統領がイラクの政治、経済、治安での改善状況を議会に報告することが義務付けられているもの。ホワイトハウスは、七月に中間報告を発表し、十八の基準のうち八分野で「満足できる」と報告しましたが、大半の分野で改善が見られないことが明らかになっていました。
今回の報告で、「満足できる」としたのは中間報告から一分野増えた九分野でした。治安分野における宗派間暴力の低減に関しては、「満足できない」と報告しました。一方、ブッシュ大統領は、前夜のテレビ演説で「宗派間殺人は減少した」などと語り、米軍部隊の一部撤退が可能になったと説明していました。
ホワイトハウスは、各分野の進ちょく状況を基準の「達成」ではなく、「満足度」をつかって評価しました。一方、議会の調査機関である政府監査院(GAO)による評価では、十八分野のうち達成できたのはわずか三分野と報告されていました。
ペロシ下院議長(民主)は十四日、報告の公表を受け声明を発表。「基準達成をイラク政府が失敗したことで米軍の再配備を遅らせることがあってはならない」と指摘、「米国民は、ブッシュ大統領のイラク十年戦争計画を拒否し、責任ある再配備と戦争終結を求めている」と語りました。
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