2007年9月16日(日)「しんぶん赤旗」
総裁選 何を争う
テロ特措法・「構造改革」・政治とカネ
顔変えても路線同じ
自民党 共同会見
「だいたい似たようなところ」「基本は同じ」―自民党総裁選に立候補した麻生太郎幹事長、福田康夫元官房長官が十五日に行った共同会見では、そんな言葉が何度も出てきました。
次期総裁として、自民党内で雪崩を打つように福田氏に支持が集まった背景には、国民に見放された安倍首相と二人三脚だった麻生氏ではなく、安倍氏と距離を置いてきた福田氏を立てることで、路線転換のイメージを印象づけたいという思いが見てとれます。
しかし、共同会見で語った今後の政治の基本方向は、二人ともまったく変わらないばかりか、安倍首相の基本路線とも、なんら変わらないものでした。
テロ特措法への対応で、麻生氏が「テロとのたたかいに参加する義務と責任」だとして、新法を含めて考えるとのべたのに対し、福田氏も「国際社会に対する責任」だとして「法律延長に、ぜひ理解をえねばならない」と、ともに自衛隊の給油活動継続に固執しました。
貧困と格差を拡大した「構造改革」については、そろって、「大きな財産」「大きな成果をあげた」と高く評価。「構造改革を継続しつつ、ひずみといわれる部分に手当てする」(麻生氏)、「諸問題には丁寧に対応して、改革の方向性は変わらない」(福田氏)といいつつ、打開の具体策はまったく示しませんでした。これでは安倍首相が辞意表明直前の所信表明演説で「改革を進める一方、改革の影の部分に光を当てる」といっていたのと変わりません。
消費税増税についても、麻生氏が、年金財源などのために「十分検討すべき」というのに対し、福田氏も「行政経費節減で及ばないなら、消費税を含めた方法が当然、必要」と、安倍首相の方向と同じです。
「政治とカネ」の問題で問われている、一円以上の領収書添付を義務づける政治資金規正法改正でも、否定的な姿勢は同じでした。
両氏とも、安倍首相の突然の辞任が混乱を招いたことには謝罪しましたが、安倍退陣に追い込んだ自公政治ノーの国民の審判には、まったく反省がないことが見てとれます。
アメリカいいなり、大企業中心という自民党政治の基本路線のなかでは、いかに総理・総裁の顔を変えても、とりえる政策の選択の幅は、いまやほとんどないことのあらわれでしょう。破たんした路線にしがみつくしかない自民党政治の行き詰まりが表れています。(西沢亨子)