2007年9月13日(木)「しんぶん赤旗」

ブッシュ政権のイラク増派

共和党からも厳しい声

「失望し、怒っている」


 イラク駐留米軍のペトレアス司令官とクロッカー駐イラク大使は十一日、前日の米下院に続いて、米上院外交、軍事両委員会の公聴会で、ブッシュ政権のイラク「増派」について証言しました。与党の共和党議員からも、「アメリカ国民は、われわれのイラクでの失敗に悲しみ、失望し、怒っている」(マケイン議員)などと、厳しい意見が出されました。イラク撤退の見通しを示せないブッシュ政権の混迷ぶりを印象づけた格好です。


米上院委

 共和党のヘーゲル議員は、「今後も今までと同様に血と金を注ぎ込むつもりか。何のためだ」と追及。グラハム議員も、「毎月六十人の兵士が殺され、九十億ドルもの血税を費やそうとしている。国益から見て、これだけの価値があるのか」と批判しました。

 民主党からは、来年の大統領選に名乗りを上げている議員らが質問。オバマ議員は「何千人もの将兵の命と膨大な戦費負担を考えれば、増派の効果は乏しすぎる」とのべ、「こんなことを続ければ、外交政策の悲惨な失敗となる」と批判しました。

 ヒラリー・クリントン議員は、ペトレアス司令官について「(ブッシュ政権の)失敗した政策の事実上のスポークスマンにされている」と指摘。同司令官がイラク・アンバル州での治安改善を「増派」の効果と報告した点についても、「地元部族長らとの協力活動は、増派前から始まっていた」と「増派」の効果ではないと批判しました。

 民主党のバード議員は、「9・11米同時多発テロとイラクとの関係はあったのか」と追及。ペトレアス司令官は「私が関知するところではない」とのべました。

 前日十日に開催された米下院の軍事、外交両委員会の合同委員会公聴会では、民主党のラントス外交委員長は「イラクのためにも、わが国のためにも、われわれはイラクから撤退する必要がある。いまがそのときだ」と主張しました。

下院議長も批判

 民主党のペロシ下院議長は十一日、ホワイトハウスでブッシュ大統領とイラク問題で会談したあと声明を発表し、「ペトレアス司令官が表明したブッシュ大統領の政策は、イラクでさらに十年以上戦争を続ける方針だ。(軍隊の)配置転換は選択ではなく、イラクでの終わりのない戦争だけが選択なのだ」と述べました。

 十一日の司令官証言について、民主党のバイデン上院外交委員長(二〇〇八年の大統領選に出馬表明)は、「アメリカ国民は果てしない戦争を支持しない」と指摘し、同じく民主党のボクサー上院議員は、「われわれは、米軍を要求されていない所に送り込んでいる。終わりも見えない、内戦のさなかに、大きな誤りの真っただ中にだ」と批判しました。



■関連キーワード

もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp