2007年9月9日(日)「しんぶん赤旗」

米の若者自殺

04年に8%も上昇

抗うつ剤使用停止と関係?


 【ワシントン=鎌塚由美】米国の子どもと若い成人の自殺率が二〇〇四年に異様に高い8%の上昇を記録していることが七日、疾病対策センター(CDC)の報告で明らかになりました。ロイター通信によると、〇四年は抗うつ剤に自殺を引き起こす危険があるとの懸念が広く宣伝された年で、当局者は抗うつ剤の使用の停止と自殺率上昇の関係を調査すると表明しました。

 CDCによると、二〇〇四年の子どもと若い成人(十歳から二十四歳)の自殺者数は、四千五百九十九人で、十五年来で最大の増加となりました。同年代の死因で自殺は第三位。二〇〇四年の自殺率は、〇三年の十万人中6・78人から、同7・32人へと上昇しました。

 同日、電話による記者会見を行ったCDCの調査予防管理全国センターのアリアス局長は報告の数字に懸念を表明しながらも「これが短期間の増加か、傾向の始まりかはまだ分からない」と語りました。

 米食品医薬品局(FDA)は二〇〇四年、抗うつ剤が、子どもやティーンエージャーの自殺思念や自殺行為を引き起こす危険が増加すると警告。これについては、精神科医から、多くの患者を効果的な治療から遠ざけ、自殺増加に貢献するかもしれないとの批判があがっていました。

 CDCの報告によると、二〇〇三年以前の十三年間の期間では、十歳から二十四歳の間の自殺率は28・5%に低下していました。「アメリカン・ジャーナル・オブ・サイキアトリー」には、FDAによる警告と自殺率の明確な関係を指摘する報告が掲載されました。

 同報告を行ったイリノイ大学のロバート・ギブソン氏は、米国とオランダのゼロ歳から十九歳まで若者への抗うつ剤の処方は、FDAによる警告以来22%低下したと指摘。オランダでは、若者の自殺率は、〇三年から〇五年の間で49%上昇、米国では14%だったと述べました。


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