2007年9月9日(日)「しんぶん赤旗」

主張

9・11から6年

「対テロ」戦争の失敗は明白だ


 アメリカにたいする「同時多発テロ」(二〇〇一年九月十一日)から六年がたちます。

 「同時多発テロ」直後、ブッシュ政権は自衛権の行使と称してアフガニスタンへの「報復戦争」を開始し、集団的自衛権の行使を決めたNATO(北大西洋条約機構)をまきこんで、攻撃作戦を拡大・強化してきました。しかし、事態は反政府武装勢力タリバンが再び勢いづくなど最悪の状況になっています。日本共産党がテロ直後に各国政府に送った書簡で指摘したような「テロ行為と武力報復の悪循環をもたらし、事態を泥沼に導く」状況になっていることは重大です。

国連憲章にそむいて

 日本共産党は、テロを撲滅するためには、軍事力による報復ではなく、法と理性にもとづいた解決が必要だと主張してきました。六年を経たアフガニスタンの事態をみればこの主張に道理があったことがますますあきらかになっています。

 米軍とNATO加盟国の連合軍がしらみつぶしにテロ勢力の拠点を攻撃しているにもかかわらず、国際テロ組織アルカイダの指導者ビンラディンもタリバン指導者オマル師も捕らえることさえできません。それどころか、タリバンが復活し、各地で米軍部隊などにたいする攻撃をつよめてさえいます。国連事務総長がことし三月に出したアフガニスタンの現状報告では「反政府勢力は著しい増加」をみせ「戦術と訓練は強化」されているとのべています。

 悲惨なのはアフガニスタンの民間人です。攻撃開始直後の二カ月間だけで、三千八百人もの犠牲をだし、その後も連合軍の攻撃で罪のない民間人が多数殺されています。昨年も二百三十人もの犠牲者がでています。さらにタリバンの無差別テロ攻撃による被害者が激増し、昨年の犠牲者は二百七十人を超えました。テロ行為と武力報復の悪循環は断ち切るべきです。

 「報復戦争」は国連安保理事会のお墨付きがありません。「同時多発テロ」直後の安保理決議は、「行為の実行者、組織者および支援者を援助し、支持しまたはかくまう者は、その責任が問われる」として、国連加盟国に協力を要請したのであって、戦争を容認したのではありません。

 国連憲章はアメリカの遺恨にもとづく戦争を容認してはいません。一九七〇年十月の国連総会決議で採択された「友好関係宣言」は、「武力行使をともなう復仇(ふっきゅう)行為(=あだ討ち)」の禁止を明確にうたっています。「報復戦争」は人類がうみだしたこの成果をも台なしにするものです。どこからみても戦争の継続は許されません。

 必要なのは、テロ犯罪の実行者、支援者を逮捕し、法に照らして厳正に処分するとともに、その国際ルールをつくることです。テロの根を絶つためにはその温床である貧困そのものを、国際的な努力でなくしていくことがなによりも確かな道です。

インド洋から撤退を

 日本政府がアメリカのいうがままに自衛隊を戦場であるインド洋に派兵し、米軍などの艦船に燃料補給を続けてきた五年間の「対テロ」戦争支援は、テロ行為と武力報復の悪循環を助長しただけです。

 安保理決議に根拠がなく、憲法にも違反した自衛隊による米軍などへの補給支援活動はやめるべきです。

 テロ特措法の有効期間が十一月一日に切れます。特措法の延長も新法の制定も許さないたたかいがいよいよ重要です。


もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp