2007年9月8日(土)「しんぶん赤旗」

注目 豪の動き

中国と安全保障協力拡大


 八、九の両日、オーストラリアのシドニーで開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)の首脳会議を前に、各国首脳は活発な外交を進めています。この中で主催国豪州のハワード首相は、ブッシュ米大統領との会談でイラク戦争で米国支持を確認。その一方で、中国の胡錦濤国家主席との会談で、両国が経済関係とともに安全保障の協力拡大で合意したことが注目を集めています。(シドニー=山崎伸治、井上歩、外信部=小寺松雄)


 八日には、米国、日本、豪州の初の三国首脳会談が開かれます。すでに日豪両首脳は今年三月、「安保共同宣言」に署名しました。宣言は両国の安保協力が「日米豪三国の協力の強化に資する」と強調しています。

 安倍首相は八月にインドを訪問し、「日印の結びつきが米豪を巻き込み、巨大なネットワークになる」と「拡大アジア」構想を打ち出しました。

 これに対してはアジア諸国からは懸念・疑問の声が相次いで出されました。特に中国は「中国に向けての四国戦略同盟をつくりあげることになる」「中国と良好な関係にある諸国が、日本のたくらみに乗るだろうか」(国営新華社通信)と強い警戒を表明しました。

 胡主席は六日、シドニーでハワード首相と会談し、安全保障に関する閣僚級の戦略対話を行うことで合意しました。

 会談後の共同記者会見でハワード氏は、「中国の成長は中国だけでなく、豪州にとっても、全世界にとってもよいことだ。戦略対話は、両国関係の展望をさらに広げる手段であり、両国関係の長期にわたる信義と信頼を表明するものだ」と指摘。八日の日米豪三カ国首脳による戦略対話について、「誰に向けられたものでもない。それは中国と豪州の戦略対話が誰に向けられたものでもないのと同じだ」と強調しました。

 胡氏は「地域の諸国はもっと対話と協力を進めるべきだ」と指摘。「協調と安定のアジア太平洋地域を確立することは、中国と豪州の利益にも、地域のすべての国の共通の利益にもかなう」と述べました。

 また地球温暖化防止について、胡氏は「中国政府は気候変動対策を重視している」と表明し、APEC首脳会議の議題として取り上げられることを歓迎。採択予定の「宣言」に「国連の枠組み条約が引き続き国際的な努力の主要な道筋となるべきだ」との立場が盛り込まれることに期待を表明しました。


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