2007年9月8日(土)「しんぶん赤旗」

10日から臨時国会

参院選結果 どう生かす


 秋の臨時国会が十日に召集され、安倍晋三首相の所信表明演説で幕を開けます。参院選で与野党が逆転して以降、初めての本格的な国会です。選挙で示された自公政治ノーの民意をどう実現するのかが問われるなか、いよいよ動き出しました。


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(写真)臨時国会開会をめぐって開かれた与野党国対委員長会談。左から3人目は穀田恵二国対委員長=7日、国会内

 臨時国会召集を前にした四日。多数の報道カメラのフラッシュがたかれる中、国会内で日本共産党を含む四野党国対委員長が顔を合わせました。

 「野党間にも意見の違いがあるが、お互いに認め合ってやるのが当然」

 およそ半年ぶりとなった四野党の会談では、民主党の山岡賢次国対委員長の発言につづき、日本共産党の穀田恵二国対委員長は、「参院選で示された民意にこたえるために、一致できる点での共同をすすめるように努力したい」とのべました。

 そのあと具体的な共同の課題でも、「政治とカネ」問題の徹底解明、テロ特措法延長反対、偽装請負問題をめぐる御手洗冨士夫日本経団連会長の参考人招致など活発な議論がおこなわれました。

 一方、政府・与党は、国民の明確な審判を受けたにもかかわらず、安倍首相が弱肉強食の「構造改革」や「戦後レジーム(体制)からの脱却」などの基本路線を堅持する構えです。

 その中で、新しい国会の力関係は、自公が強行採決を勝手し放題にくり返した先の通常国会とは、国会運営でも論戦でも、大きく変わる可能性をもたらしています。

 今臨時国会では、参院の十議席未満の三会派(日本共産党、社民党、国民新党)にも、首相の所信表明演説にたいする本会議質問が保障されることになりました。三会派の共同の申し入れに、自民党側も受け入れざるをえなくなっています。

 衆院では、代表質問の日程をめぐり難航。自民党の衆院幹部は「簡単に合意しないということには、新しい参議院選挙の結果がまねいた新しい政治状況を受けての考えがあるのだろう」と語っています。

 先の通常国会で与党が強行採決した改憲手続き法にもとづく憲法審査会の立ち上げ問題では、一時は自民党との共同で成立をめざした民主党からも、「安倍政権がつづく限りは無理」との声が上がっています。一方、安倍首相は、参院選で掲げた三年後の改憲案発議の方針は「変わっていない」と明言しており、審査会立ち上げをめぐって与野党間でせめぎあいが予想されます。

 日本共産党は臨時国会で、国民の切実な願いを実現するため、自民党政治の根本的転換をめざす論戦を大いにすすめると同時に、一致点にもとづく野党の共同に積極的にとりくむ構えです。

 草の根の国民の運動との連携もいっそう強めることにしています。党議員団が障害者・患者団体と四日に懇談し、相次いで出された、障害者自立支援法の「応益負担」中止の要望を、六日には舛添要一厚労相に直接申し入れ、同相から「十分検討する」との回答を引き出しました。


問われる課題

貧困の打開

 安倍内閣は、参院選後も国民の暮らしを破壊し、貧困と格差を拡大した「構造改革」路線を継続する構えを見せています。八月末にまとめた来年度予算の概算要求でも、「成長戦略」にもとづき大企業・大資産家減税が目白押しの内容になっており、貧困と格差拡大に反省はありません。

 臨時国会では、この安倍路線に立ち向かい、貧困と格差をどう打開するかが問われます。

 日本共産党は参院選で掲げた「ストップ貧困」の立場で一歩でも二歩でも国政を前に動かすために奮闘する構えです。「緊急福祉1兆円プラン」の実現にむけて、あらゆる可能性を探っていきます。

テロ特措法

 政府・与党が最重点課題と位置づけるのが、海上自衛隊がインド洋で米軍支援を続けるためのテロ特措法延長。米政府など「外圧」を頼りに延長に固執しています。しかし、民主党が反対を表明しているもとで、延長阻止の可能性も生まれています。

 日本共産党は、「戦争でテロはなくせない」というアフガン戦争六年間の現実を示し延長を阻止するとともに、イラクへの自衛隊派兵の問題も一体で追及する構え。同時に、大本にある日米同盟最優先の政治姿勢を追及しようとしています。

政治とカネ

 改造後も「政治とカネ」の疑惑が噴出し続ける安倍内閣。しかし、どの疑惑でも真相解明は行われていません。この「政治とカネ」の問題にどう向き合うか、政党の姿勢が問われます。

 日本共産党は他の野党とも共同して国政調査権も発動し、疑惑解明に全力をあげます。同時に、政治資金規正法の抜本改正、大本にある企業・団体献金や政党助成金の問題にも切り込んでいきます。


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