2007年9月8日(土)「しんぶん赤旗」
800万円いずこ
鴨下環境相「訂正」 説明はつかず
首相、公言翻し問題視せず
鴨下一郎環境相(衆院東京13区)は七日、自身の資金管理団体の借入金問題にからみ、本人名義の銀行口座から一九九六年に二百万円が引き出されたことが記録された通帳のコピーを公表しました。同氏は、これによって、「九六年に二百万円(を貸し付けた)ということが間違いないと確認された」と胸をはりましたが、一九九八―二〇〇五年の政治資金収支報告書で、九六年分の借入金を「一千万円」と記載し続けてきたことについては説明していません。同氏は同日、収支報告書を訂正しましたが、訂正だけですむのか―。
鴨下氏が示した通帳は「鴨下一郎」名義で、二百万円の引き出しは九六年五月二十三日。同氏の説明によると、口座は個人的な給与の振り込みや借入金の返済用のもの。鴨下氏は、この二百万円が資金管理団体への貸し付けに回された「蓋然(がいぜん)性が高い」と強調しました。
ところが、資金管理団体の収支報告書は、「九六年八月十日」に借入金「一千万円」と一貫して記載しており、差額の八百万円は、いったい、どこに消えたのか、不明のままです。
一方、衆院議長に提出が義務付けられている「資産等報告書」には、鴨下氏個人が誰かに貸している貸付金の残高は、〇〇年六月時点で八百二十万円で、それ以降はゼロになっています。鴨下氏は自分の資金管理団体にカネを貸しているのか、それともいないのか、貸しているならそれはいくらなのか。この説明も必要です。
通帳のコピーだけではなく、鴨下氏と資金管理団体との借用証や残高証明の写しなど、金銭貸借を裏付ける書類の提示、公開が求められます。
政治資金収支報告書は政治団体の会計責任者が「真実に相違ありません」という宣誓書を出して提出するものです。収支報告書の虚偽記載は、五年以下の禁固または百万円以下の罰金に処せられます。
安倍首相は、鴨下氏の問題について、「記載ミスと聞いている」と問題視しない考えを示しています。しかし、「十分な説明ができなければ、去っていただく」と公言したこととの矛盾をどう説明するのでしょうか。
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