2007年9月6日(木)「しんぶん赤旗」

こちら社会部

“仕事ない”業者悲鳴

建築確認申請が激減

“国交省が情報徹底不足”

建築基準法改定


 耐震強度偽装事件を契機に改定された建築基準法をめぐり現場で混乱がおきています。「改定にともなう書類や書式の提出方法・事項の周知徹底が不足している」と現場の業者などから行政への批判の声があがっています。


 改定された同法は六月二十日に施行。「建築確認・検査が厳格化」されました。構造計算書の「二重チェック」の導入や、建築確認の審査期間が三十五日に延長(最大七十日まで延長可)されました。それから、二カ月余が経過しましたが、全国各地で建築確認申請が激減するなど建築確認が滞っています。

受理数「ゼロ」

 関係者によると、東京都墨田区の七月の確認申請受理数は「ゼロ」でした。川崎市も構造計算書が必要とされる物件の申請受理数は、六月二十日から三十日まで「ゼロ」、七月八件、八月一日から二十七日まで十九件でした。が、そのうち確認済証が交付されたのは「ゼロ」(八月二十九日現在)です。

 法改定で、提出すべき書類や記載事項が増えました。それと同時に、書類の訂正や差し替えを認めないことになりミスがあれば、一から書類を作り直し再申請が必要になりました。

 墨田区に木造三階建てを申請した設計士は「構造計算書が必要な木造三階建ては一件も確認がおりていない。『改正』法は『プロが間違えるのはいかん』という発想だがちょっとした考え方の食い違いがでるのは当たり前。それをすぐ直すことができないなら、時間と手数料の負担が大変になる」といいます。

 日本共産党の西恭三郎区議は「ほとんどの物件が動いていない。設計事務所、建築業者、建築業界に大打撃。地域経済に重大な影響を与えている」といいます。

手探り状態に

 「改正前に確認がおりた物件の仕事が終わるともう、仕事がなくなってしまう死活問題だ」と嘆くのは、川崎市内の工務店の社長です。

 鉄筋三階建て共同住宅の発注を受けていますが、建築確認がおりないため「銀行とローンの契約もできない」といいます。

 横浜市の設計者は「今まで常識的に処理されていたものが姉歯さんの事件があって厳格になるのはいいことだ。でも国交省の基準の策定が遅れ情報の周知徹底が不足したため、確認する側もされる側も手探り状態になっている」といいます。


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