2007年9月6日(木)「しんぶん赤旗」

異論噴出

政治資金規正法再改定 自民の「反省」どこへ

1円以上領収書「話違う」


 遠藤武彦前農水相が補助金不正受給で辞任に追い込まれるなど早くも安倍改造内閣のでたらめぶりがあらわになっているにもかかわらず、自民党は「政治とカネ」問題の対処で開き直る態度をみせています。十日召集の臨時国会で焦点となる政治資金規正法の再改定について「出来上がるかどうかは確約できない」(麻生太郎幹事長、四日の記者会見)と言い出しており、「反省」はどこにいったのか問われています。

有権者から批判

 政治資金規正法の再改定の論議で与野党から出ているのは、すべての政治団体の一円以上の経常経費支出に領収書添付を義務付けるものです。

 参院選前の通常国会で自民、公明両党は、規制対象を政治家個人の資金管理団体に限定し、領収書添付も人件費を除く五万円以上の経常経費支出にする法改定を行いました。しかしその後、赤城徳彦元農水相の政治団体が、家賃をおさめていない実家を「主たる事務所」としながら事務所費を計上していた問題が発覚。一件あたりの支出を五万円未満に細分化すれば実態をいくらでも隠せることも明らかになりました。

 与党が強行した法改定の「ザル法」ぶりは参院選で有権者の強い批判を受け、与党は「政治団体全体を対象として、一円以上の領収書を公開すべきというのが、民意の大勢だ。政治活動の自由という視点は、もはや国民に受け入れられなかった」(自民党の中川秀直幹事長、八月一日の記者会見)と「反省」したのです。

 ところが、改造内閣、自民党新執行部からはこの「反省」が口先だけだったと思わせる発言が相次いでいます。

 与謝野馨官房長官は「にわかに一円がいい悪いというところから問題に入っていくのが正しいかどうか」(四日の記者会見)と疑問を示し、二階俊博総務会長は「『一円以上』というのは、徹底的に明朗にやりたいという決意を示したもので、一つの象徴的な言葉だ」(八月三十日、記者団に)といい出す始末。麻生幹事長は「現実問題として一円(以上)というのは自分の話(考え)とは違う」(四日の記者会見)と明確に反対の立場を示しています。

旧態依然の体質

 「政治とカネ」の問題が大問題になっているのに、こうした発言が公然とでてくる背景には、政治資金を企業・団体献金に依存しているため、不明朗な金の流れを国民の目から隠したいという、自民党の旧態依然たる体質があります。

 安倍晋三首相が参院選後に政治資金規正法の再改定の必要性を表明したのを受け、自民党党改革実行本部は八月に各派閥の事務総長などから意見聴取を行いましたが、政治団体のすべての支出に領収書添付を義務付ける方針に「慶弔費などまで領収書を付けないといけないのか」「事務量が増えるだけだ」など異論が噴出。結局八月二十七日の改造内閣・党新執行部発足以降に議論を先送りしたのです。ここには、国民の前に政治資金の流れを明らかにするという姿勢はみられません。

 安倍首相は内閣改造後の八月二十九日、新しい党執行部に再改定をまとめるよう指示を出しましたが、新閣僚、官房副長官、政務官らの疑惑が次々浮上し、この「指示」も宙に浮く状態に。安倍首相が「政治とカネ」でまともな対応をできないもとで、麻生氏らは無反省な態度を決め込んでいるのです。



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