2007年9月4日(火)「しんぶん赤旗」
遠藤農水相が辞任
安倍政権 閣僚交代5人目
補助金の不正受給
遠藤武彦農水相は三日、自らが組合長を務めていた置賜(おきたま)農業共済組合(山形県米沢市)の補助金不正受給問題で、安倍晋三首相に辞表を提出し辞任しました。安倍政権の閣僚交代は遠藤氏で五人目で、農水相は三カ月間で三人目です。また、坂本由紀子外務政務官も同日、みずからが代表を務める自民党支部が政治活動費を多重計上していた問題で辞任するなど、安倍改造内閣は発足からわずか一週間で危機を迎える事態となりました。
坂本政務官も辞任
政治活動費多重計上
日本共産党など野党は、「安倍晋三首相の任命責任は重大だ」(市田忠義書記局長)として、十日召集予定の臨時国会で安倍首相の責任を厳しく追及する構えです。
遠藤氏は辞表提出直後の記者会見で、辞任の理由について、「農業行政への信頼を傷つけないようにする配慮から」「今後の国会運営を考えると非常に申し訳ない状況になった」などと、政府・与党の事情を優先した判断だったことを強調。不正受給分の補助金の返還が三年以上遅れたことについては、みずからの「監督責任」を認めたものの、不正受給をめぐる自らの関与については明らかにしませんでした。
安倍首相は、遠藤氏の辞任を受け記者団に、「任命責任は私にある」としつつ、「今後、農水行政が遅滞しないよう全力を尽くすことで責任を果たしたい」と述べ、あくまで政権維持をはかる立場を示しました。
安倍首相は遠藤氏の後任として、内閣改造前に農水相を兼任していた若林正俊前環境相を充てました。
遠藤氏は一日の記者会見では不正受給について「自分の指示ではない」とのべ、辞任を否定していました。しかし、同組合が十四年前から二〇〇〇年まで不正受給を受けていたことや、「水増し」による不正受給が「上の指示」でおこなわれていたことが「しんぶん赤旗」の独自取材によって判明しており、遠藤氏にたいする追及と実態の解明が不可欠です。
首相の任命責任重大
市田書記局長が批判
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日本共産党の市田忠義書記局長は三日、遠藤武彦農水相の辞任について、国会内で記者団に問われ、「辞任は当然だ」と強調しました。
市田氏は、遠藤氏が、加入者を水増しして国の税金を不正に受給していた「置賜農業共済組合」の組合長を務めていたこととともに、こうした事実を同氏が以前から知っていたことを指摘。「農水相の打診があったときに、受けるべきではなかった。大臣になる資格が、もともとなかった人だ」と批判しました。
そのうえで、安倍内閣が発足して一年足らずのうちに、今回の改造内閣もあわせ、五人の閣僚が不祥事で交代していることをあげ、「末期的症状だ」と強調。「安倍首相は、この問題についての自らの責任について、まだ明らかにしていないが、首相の任命責任は重大だ。十日から始まる国会のなかでも、安倍首相自身の任命責任も真正面から追及していきたい」と表明しました。
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