2007年9月3日(月)「しんぶん赤旗」
子ども医療費
窓口減免に国が制裁
自治体への補助金381億円削る
子ども医療費の窓口負担を減免している市区町村にたいし、国は補助金削減という「制裁=ペナルティー」をおこない、削減額が二〇〇〇年度から〇五年度までの六年間で約三百八十一億円にのぼることが、厚生労働省のまとめで分かりました。日本共産党の小池晃参院議員に二日までに同省が回答したものです。
子ども医療費無料化は、父母や医療関係者の粘り強い運動で全国の自治体に広がっています。この動きに、多額の補助金カットという手段で妨害する国の姿勢が問われています。
子ども医療費の減免制度は(1)病院窓口で自己負担分を払わなくていい方式(現物給付)(2)病院窓口でいったん自己負担分を支払い、後で払い戻してもらう方式(償還払い)の二種類があります。
厚労省は、現物給付方式について、「窓口で支払わないと、患者数が増えて、その分、余計に医療費がかかる」(波及増)とみなして、市区町村の国民健康保険財政にたいする国庫補助金を減額する仕組みをとっています。
厚労省によれば、二〇〇〇年度の削減額は約四十九億円、〇一年度は約五十八億円、〇二年度は約六十六億円と年々増加。〇三年度と〇四年度は約七十二億円に達しました。〇五年度は約六十四億円に減りましたが、これは国の補助金の一部を都道府県に負担させる仕組みに変えたことによるもの。市区町村にとっては、約七十一億円の削減です。
自治体にとっては、窓口無料化を実現すれば、国からの補助金が減らされるため、深刻な財政負担になります。国の「制裁措置」が窓口無料化促進の大きな障害となっています。地方自治体からは、「減額調整措置の廃止が必要」という要望書が繰り返し、政府に提出されています。
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福祉と自治に反する
小池晃参院議員の話 現物給付による子ども医療費の無料化は父母の願いです。この願いにこたえた自治体にたいする国の「ペナルティー」は、住民福祉にも地方自治にも反するもので、ただちに中止すべきです。
そして国の制度で子ども医療費の無料化を実現することを強く求めます。
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