2007年9月3日(月)「しんぶん赤旗」
遠藤農水相が辞意
補助金不正受給 世論の批判受け
遠藤武彦農水相は二日、自らが組合長を務める置賜(おきたま)農業共済組合(山形県米沢市)が国から補助金を不正受給していた問題の責任をとり、辞任する意向を固めました。日本共産党の志位和夫委員長は同日午前のNHK番組で遠藤農水相の辞任・罷免を求めていました。遠藤農水相は三日午前、首相官邸で安倍晋三首相と会い、辞表を提出します。また、坂本由紀子外務政務官も二日、政治活動費を多重に計上していた問題で、引責辞任する意向を固めました。
坂本外務政務官も
置賜農業共済組合は、天災などの被害を補償する農業共済をめぐり、加入者の水増しで国からの補助金、百十五万円を不正に受け取っていました。遠藤農水相は一日の記者会見で補助金の不正受給について「大変な不祥事」としながらも、「(農水相を)お受けした以上は全力をつくす」と辞任を否定していました。
先の参院選挙で「政治とカネ」問題が焦点となり、厳しい審判が下ったにもかかわらず、改造内閣発足からわずか一週間での農水相の辞任で、首相の任命責任が厳しく問われることになり、安倍政権に大きな打撃を与えるのは必至です。
安倍首相は内閣改造後の会見で「人心一新」を強調し、「政治とカネ」問題に厳しくのぞむ態度を表明しましたが、今回の問題が発覚した後も「説明を果たさなければならない」とのべるだけで率先して疑惑解明にあたることはありませんでした。
農水相の問題をめぐり、与謝野馨官房長官は二日、自民党の麻生太郎幹事長、大島理森国対委員長と都内のホテルで会い、情勢は厳しいとの認識で一致。与謝野長官はこの後、農水相とも会談し進退を含め対応を協議しました。政府高官は同日夜、「(厳しい情勢は農水相)本人も感じているのではないか」と述べました。
政府・与党内では、農水相がとどまったままでは十日召集予定の臨時国会を乗り切るのは困難との見方が広がっていました。
市田書記局長がコメント
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日本共産党の市田忠義書記局長は二日、遠藤武彦農水相が辞任の意向を固めたことについて、次のコメントを発表しました。
遠藤農水相の辞任は当然であるが、この問題をそれで「一件落着」とするわけにはいかない。ことは国民の税金の使われ方、行政のあり方に深くかかわる問題であり、真相の徹底究明はもちろん、遠藤氏の政治的責任を明らかにすることが不可欠である。
安倍内閣は、閣僚をはじめ内閣の構成員の不正問題をくりかえしている。日本共産党は安倍首相の任命責任をふくめ、「政治とカネ」をめぐる腐敗ぶりを徹底的に追及する。
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