2007年9月1日(土)「しんぶん赤旗」

ミサイル防衛

晴海ふ頭を検討

部隊展開 明治・代々木公園も


 防衛省が、首都圏に配備を進める「ミサイル防衛」システムの地対空誘導弾パトリオット(PAC3)について、日本に向かう弾道ミサイルを撃ち落とす航空自衛隊入間基地(埼玉県)の部隊の展開場所として、晴海ふ頭公園(東京都中央区)を検討していることが三十日、明らかになりました。明治公園(新宿区・渋谷区)、代々木公園(渋谷区)も候補地に想定しています。同省は、緊急時の使用を可能にするため、公園管理者の石原慎太郎東京都知事に協力を求める方針です。

 PAC3は、弾道ミサイルを地上から迎撃するミサイル。今年三月末、入間基地に初めて配備されました。防護できる範囲は半径約二十キロと狭いため、都心を狙うミサイル発射の兆候をつかんでも、高射隊を入間基地から都心部に移動させる必要があります。

 晴海ふ頭公園は、周囲に高層ビルなど遮へい物がなく、弾道ミサイルを追尾するためのレーダーへの支障が少ないとみられています。明治公園、代々木公園も周辺に平たん地が広がり、官邸などにも近い点が評価されました。

 防衛省は、PAC3の展開拠点として、陸上自衛隊の市谷駐屯地(新宿区)、練馬駐屯地(練馬区)のグラウンドを使用することを既に計画。しかし自衛隊施設以外にも確保する必要があるとして、候補地選びを本格化させています。

 「ミサイル防衛」(MD) ブッシュ米政権が推進しているもので、相手国の弾道ミサイルを無力化することで、報復の心配なく先制攻撃を可能にするシステム。PAC3を含め、技術的には完成していません。日本政府は、地上配備型のPAC3と、洋上のイージス艦から発射する新型ミサイル(SM3)を組み合わせた形で導入を進めており、当面の経費だけでも、約一兆円をつぎ込む計画です。


市民生活に支障

東京平和委員会

 東京平和委員会は三十日、防衛省がミサイル防衛(MD)のために航空自衛隊入間基地(埼玉県狭山市)に配備したパトリオット・ミサイルを都内に展開する訓練を実施する方針を固めたことに反対する声明を発表しました。

 声明は「ミサイルが配備された地域では、必要以上の警備や警戒態勢はもちろん、市民の憩いの場である公園の使用ができなくなるなど市民生活に多大な影響が出てくる」と指摘。ミサイル防衛構想自体がアメリカの指導の下で行われ、集団的自衛権の問題も無視して進めているもので、「施策自体を見直す必要がある」とし、防衛省・自衛隊に対し、「防衛」を口実にしたミサイル迎撃展開訓練とミサイル防衛計画の中止を強く求めています。


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