2007年9月1日(土)「しんぶん赤旗」

主張

防災の日

被害を減らすのは政治の責任


 いまから八十四年前の一九二三年九月一日、南関東一帯を地震が襲い、死者だけでも十万人を超す被害をもたらしました。関東大震災です。

 今年もその日にちなんだ防災の日を迎えます。地震や風水害などの自然災害をなくすことはできませんが、備えを怠らないことで被害を減らすことはできます。被害を最小限に抑えるのは政治の責任です。

相次ぐ地震災害への備え

 今年も春から、石川県を中心にした能登半島地震、新潟県の中越沖地震など、大きな地震災害が相次ぎました。集中豪雨や台風などの風水害と並んで、地震への備えを強めることは、差し迫った課題です。

 日本は世界有数の地震国です。加えて最近は、大規模地震が差し迫っているとされた地域以外でも大きな地震が発生しており、日本列島全体が地震の活動期に入っています。地震への備えが全国で求められます。

 能登半島や中越沖の地震で大きな被害を生んだのは、住宅の倒壊が相次ぎ、その下敷きになるなどして犠牲になる人が出たことです。同じ地域でも耐震補強をした住宅は大丈夫なのに、耐震補強がされていない住宅ほど大きな被害を受けたというのは、どこでも見られました。

 国土交通省の調査では、二〇〇三年の時点で耐震性が不十分と見られる住宅は全国の住宅の約四分の一、千百五十万戸もあります。耐震化の工事には膨大な費用がかかります。国や自治体の支援を拡充することなしには進みません。すべての住宅を対象にした耐震化のため、抜本的な支援措置が不可欠です。

 地震などのさい避難所にもなる、学校など公共施設の耐震補強が遅れていることも重大です。中越沖地震では、いったん避難した学校の被害が大きく、別の避難所に移る事態も起きました。学校は子どもたちが平日の大半をすごす学習と生活の場でもあります。地震に耐えられるようにすることは、待ったなしです。

 文部科学省が今年おこなった調査では、耐震化率は小中学校で58・6%、高校で60・9%にすぎず、耐震診断さえおこなっていない学校も残されています。地域的なばらつきも大きく、全国どこでも大きな地震への備えが求められている実情にあっていません。古い校舎などの建て替えとともに応急の補強工事を急ぐなど、全力を挙げるべきです。

 このほか、高齢者の多い地域での避難対策や全体としての消防力の強化など、被害を減らすためにやるべきことはたくさんありますが、なかでも能登半島と中越沖の地震が浮かび上がらせた緊急の課題が、原子力発電所の安全対策です。

 能登半島地震では北陸電力の志賀原発が、中越沖地震では東京電力の柏崎刈羽原発がいずれも想定を超える揺れに見舞われ、緊急停止しました。万が一、原子炉が破壊され、放射能が飛び散ったりすれば、広い範囲で大きな被害を与えます。原発の震災対策を総点検し、備えを強化することは、多くの国民の生命を守る上で不可欠です。

一日限りの行事にせず

 防災の日にあたって、各地で防災訓練や避難訓練がおこなわれます。災害に備えるためにそうした訓練ももちろん重要ですが、関東大震災のような災害を繰り返さないために大切なのは、日ごろから被害を減らす対策を強めることです。

 防災の日一日に終わらせず、災害による被害を最小限に抑えるための対策を根本から見直し、その実現に向かうことこそが求められます。


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