2007年8月31日(金)「しんぶん赤旗」
独占禁止法を可決
中国全人代 市場経済の法整備
就業促進法も
【北京=山田俊英】中国の国会にあたる全国人民代表大会(全人代)の常設機関、常務委員会第二十九回会議は最終日の三十日、独占禁止法を可決しました。企業によるカルテルや「市場における支配的地位の乱用」を禁止しました。二〇〇八年八月一日から施行されます。雇用における差別禁止を規定した就業促進法も可決。市場経済の法整備を一段と進めました。
中国ではこれまで反不正当競争法や価格法で、価格操作などを禁止してきましたが、経済法の要となる独占禁止法はありませんでした。市場経済のなかで公正な競争条件を整える法律の必要性が求められていました。
立法作業は一九九〇年代から行われ、中央・地方政府が権限を使って競争を制限する「行政独占」の定義や構成要件をめぐって長年論議が続いていました。
同法は企業による独占行為に加え、「行政独占」も禁止しました。市場で支配的地位を乱用して消費者の利益に損害を与える行為も禁止されました。
国務院(内閣)が設置する「独占禁止委員会」が法執行の指導、調整に当たり、実際の執行機関については「国務院が規定する」とされています。
外国企業による中国企業の買収について、「国家の安全にかかわる場合は国の関係機関が審査する」規定も盛り込みました。
就業促進法は、雇用にあたって性別、障害の有無、都市・農村の出身別による差別を禁止。違反者に対する罰則も規定しました。中央・地方政府には「公平な就業環境づくりと差別撤廃」が義務づけられました。
このほか今回の常務委員会では、労働紛争調停仲裁法案が初めて審議されました。労使紛争の急増に対応するため、調停・仲裁制度を整備することが目的です。