2007年8月31日(金)「しんぶん赤旗」
医学部
全都道府県で定員増
政府連絡会議 暫定的に5〜15人
厚生労働省、文部科学省、総務省などでつくる「地域医療に関する関係省庁連絡会議」が三十日開かれ、全都道府県を対象に「緊急臨時的」な医学部定員増を認める方針を確認しました。
政府は昨年、十県に限って医学部定員増(最大各十人)を「前倒し」で認めましたが、それを、全都道府県に拡大したものです。ただし、「将来の医師養成を前倒しする趣旨」と強調。あくまでも「暫定的な調整」であるとしています。
定員増の上限は北海道十五人、他の都府県は五人。期間は二〇〇九年度から最大九年間(公立大学は〇八年度から十年間)としています。都道府県には、卒業後、医師確保が必要な医療機関に原則九年以上勤務することを返還免除の条件とする奨学金の設定を求めています。
連絡会議は、これとは別に、「医師養成総数が少ない県」(医学部定員八十人未満)の医学部定員増も容認。入学定員が六十人の和歌山県立医科大と横浜市立大の二大学については、最大二十人までの定員増を認めました。〇八年度からの恒久的な措置として、奨学金の設定など、県内への定着を条件にしています。
政府は、基本的に「医師不足は、絶対数の不足ではなく、偏在の問題」として、「医学部定員削減」の閣議決定(一九七九年)を変えようとしていません。しかし、医師不足の深刻さと、その解決を求める世論と運動の広がりは、政府の姿勢を動かしつつあるといえます。
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