2007年8月31日(金)「しんぶん赤旗」
集団的自衛権
後方支援拡大求める
政府懇談会 10月以降に「報告書」
政府は三十日、集団的自衛権行使の個別事例を検討する「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(座長・柳井俊二前駐米大使)の第五回会合を首相官邸で開き、戦地での米軍などへの後方支援について議論しました。
自衛隊が海外で米軍などに補給・輸送などの後方支援を行う際、憲法が禁じる集団的自衛権の行使とみなされないために、それらの活動が「武力行使と一体化しない」ことが条件となっています。このためイラク特措法やテロ特措法では、自衛隊の活動は「非戦闘地域」に限るとしています。
これに対して安倍晋三首相は会合の冒頭、「武力行使と一体化しないという条件が課された後方支援の在り方が、これまで通りでいいのか、重要な検討課題だ」と述べ、従来のあり方を見直すよう検討を求めました。
委員からは「『一体化』論は日本特有の考え方で国際的に通用しない」「国際平和活動では結束が重要だ。『一体化』の論理はそれに逆行する」などの意見が相次ぎ、後方支援の拡大を求める声が相次ぎました。
首相が提示した集団的自衛権の行使に関する「四類型」の議論については今回で一巡しました。これまでの会合で検討されたどの事例についても、集団的自衛権の行使に反対する意見は皆無でした。
今後、引き続いて議論する予定ですが、九月中の開催は委員の日程上難しく、報告書の提出は十月以降になります。柳井座長は「今秋に作成したい」との意向を示しています。