2007年8月29日(水)「しんぶん赤旗」

主張

非核日本宣言

政府は核兵器廃絶へ行動を


 「再び被爆者をつくるな」「地球上から核兵器をなくせ」という被爆者の叫びが、いま世界の声となって広がっています。圧倒的多数の政府もその実現を求めています。

 こうしたとき、原水爆禁止日本協議会と非核の政府を求める会の代表ら広範な各界の人々が提唱した「非核日本宣言」運動が歓迎されています。被爆国日本政府が「核兵器廃絶の提唱・促進」と、「核兵器をもたず、つくらず、持ち込ませず」という非核三原則の厳守を、国会や国連総会などで改めて宣言し、各国政府に核兵器廃絶への共同の努力を求める行動をとらせようというものです。

被爆国の特別の義務

 日本政府は、ヒロシマ・ナガサキを体験した国として、被爆の惨禍を直視し、被爆者の叫びに耳を傾け、世界に向かって核兵器廃絶のイニシアチブを発揮する特別の義務があります。ところが政府・与党幹部からは、核兵器保有論議が繰り返され、現職防衛大臣から「原爆投下はしょうがない」といった発言がなされるありさまです。「しょうがない」発言は、被爆者をはじめ国民の大きな怒りをかい、防衛大臣は辞任に追い込まれました。

 被爆六十二周年にあたり、広島、長崎の両市長が世界へ発した「平和宣言」でも、日本政府の責任を強調しています。「宣言」はそれぞれ「政府には、まず謙虚に被爆の実相と被爆者の哲学を学び、それを世界に広める責任があります。…核兵器廃絶のため誠実に努力する義務を負う」(広島)、「被爆国の政府として、日本国憲法の平和と不戦の理念にもとづき、国際社会において、核兵器廃絶に向けて、強いリーダーシップを発揮してください」(長崎)とのべています。

 先に開かれた原水爆禁止二〇〇七年世界大会の国際会議宣言は、「核の傘」への依存や原爆投下容認などの動きに懸念を表明し、「『非核日本宣言』の運動を心から支持するとともに、憲法九条をまもり、非核・平和の日本をめざす運動に連帯を表明する」と世界の期待を示しました。

 こうしたなかでとりくまれている「非核日本宣言」運動にたいし、地方自治体の首長や議長、各界の著名人、労組幹部らから次々と共感・賛同が寄せられています。すでに首長百七十七人、議長百二十四人が賛同しました。首長の賛同が自治体数の半数を超えた自治体(高知県63%、新潟県56%)も生まれています。

 世界の流れも「人類は核兵器とけっして共存できない」というのが大勢です。今春ウィーンで開かれた二〇一〇年核不拡散条約(NPT)再検討会議にむけた準備委員会では、米国の姿勢に批判が相次ぎました。ブッシュ政権が二〇〇〇年NPT会議で合意した核兵器廃絶の「明確な約束」実行を拒み、「テロと拡散」を口実に核兵器の威嚇・使用も含めた先制攻撃戦略をとってきたからです。準備委では、「明確な約束」実行を求めた多くの参加国を前に、米国代表が「廃絶」の言葉を繰り返し、言い訳に終始しました。

本格的なとりくみが

 世界大会は、「非核日本宣言」運動を九月議会にむけてのとりくみを皮切りに本格的に強めようと提起しました。この秋の国連総会や来春のNPT再検討会議準備委員会にむけて、職場や地域、学園で「すみやかな核兵器の廃絶のために」署名をすすめることをよびかけました。「憲法九条まもれ」のたたかいなどとも結び、非核平和の世界と日本をめざす運動の前進が期待されます。


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