2007年8月28日(火)「しんぶん赤旗」
中華機事故1週間
ボルト脱落防げなかったか
トラブル情報 国交省未掌握
沖縄県那覇空港でおきた中華航空機爆発炎上事故は、二十七日で発生から一週間を迎えました。国土交通省航空・鉄道事故調査委員会の検証作業で、脱落したボルトが燃料タンクを突き破り穴から一気に燃料が漏れたため、大きな火災につながったとみられ、ボルト脱落をなぜ防ぐことができなかったのかが今後の調査の焦点のひとつになっています。過去に同種トラブルが二件発生していながら、国土交通省は米ボーイング社の詳細情報を共有していませんでした。人命にかかわる大惨事になりかねなかっただけに、情報把握のあり方や日本就航の海外航空会社の安全チェックに重い課題をつきつけています。
製造段階か整備ミスか
事故調は二十五日までの六日間、米国や台湾の調査チームの協力も得て事故機を検証し、穴の開いた燃料タンクの一部と脱落したボルトや留め具を回収。並行して機長ら関係者約四十人から聴取しました。
事故機のB737―800整備記録には、米ボーイング社のボルト脱落に関する注意喚起文書に基づき、七月六日に手順通り点検したと記載。部品の脱落が製造段階での不具合だったのか、整備ミスに起因するものか、現状でははっきりしていません。
ボーイング社は二〇〇五年と〇六年の二回、主翼の可動翼のボルト脱落による燃料漏れについて、各航空会社にサービスレター(SL)を出して注意喚起していましたが、国交省は把握していませんでした。同省は二十六日、国内航空会社の同系列機二十三機の主翼前縁部可動翼のすべての取り付け状況を九月十八日までに点検することを指示しました。航空機メーカーからの安全にかかわる重要な情報把握や、航空会社への徹底などに課題が残ったままです。
残骸の撤去見通しなし
事故調の台木一成首席調査官は「現地での調査は一段落した。関係する部品を合わせ見て、(タンクに)穴が開いた状況を明らかにできればいい」と説明。今後、報告書取りまとめには一年程度かかる見込みといいます。
沖縄県警も航空危険行為処罰法違反容疑で捜査していますが、事故調の報告を待って立件の可否を検討する方針。捜査幹部は「長期的な捜査になる。結論は何年先か分からない」と話します。
現場となった那覇空港の駐機場41番スポットには、事故機の残骸(ざんがい)が無残な姿をさらしたまま。
事故機の貨物には、台湾からのウナギ約二・四トンやバナナ約六百キロなどが含まれており、機内では焼け残りが腐り始めています。
便数が少ない国際線用で、運航などへの影響は比較的少ないものの、空港事務所は「できるだけ早く撤去させたい」考えです。中華航空も「場所が場所だけに、なるべく早く空けたい」(広報担当者)としていますが、明確な見通しは立っていません。