2007年8月28日(火)「しんぶん赤旗」

イラク首相

更迭論に反発

仏外相と米政治家を非難


 【パリ=山田芳進】バグダッドからの報道によると、イラクのマリキ首相は二十六日の記者会見で、同氏の交代を主張したクシュネル仏外相の発言について仏政府に謝罪を要求しました。

 クシュネル仏外相は、十九日から二十一日にかけて仏高官としては二〇〇三年の米英のイラク開戦後初めてイラクを訪問しています。同外相は、米誌『ニューズウィーク』電子版のインタビューで、「多くの人が(マリキ)首相は交代すべきだと思っている」と述べ、「それが実現するかどうかは分からない。ブッシュ米大統領は首相に固執しているようだがイラク政府は機能していない」と発言したことに対するものです。

 この発言に対し、マリキ氏は「どう考えても外交的とは評価できない外相の発言に驚いている」と憤りを表明。「フランスはかつて(サダム・フセインの)旧体制を支持した。今回の外相の訪問(十九―二十一日)を喜んでいたところに、旧体制派への支持を与えた」と述べ、仏外相の発言を武装勢力を支援したものと非難しました。

 同首相はこの会見で同首相の更迭を要求している米民主党のヒラリー・クリントン上院議員やレビン上院軍事委員長を「イラクを自国の村の一つであるかのように考えている米国の政治家がいる」「内政干渉だ」と名指しで非難しました。

 クシュネル氏の発言について、仏外務省のモレ報道官は「今回のイラク訪問の際に、現在進行中の議論で聞いた内容について語ったもの」と、批判を最小限に抑えようとしています。

 しかし、クシュネル氏は、インタビューの中で、ライス米国務長官との電話で「マリキ氏は交代しなければならない」と明言し、次期首相候補とされているマハディ・イラク副大統領(前首相)について「フランスで勉強し、堅実な人物。首相の座にふさわしい人物の一人とみられている」と語っています。

 同外相は、パリ発行の英字紙インターナショナル・ヘラルド・トリビューン二十七日付のコラムで、「イラクには国民統一に基づいた広範な基盤を持つ政府が樹立されるべきだ。フランスはそのために調停者の役割を演じる用意がある」と強調しました。



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