2007年8月23日(木)「しんぶん赤旗」
1千万年前のゴリラ?
東大教授ら エチオピアで化石発見
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アフリカのエチオピアで、約一千万年前に生息していたゴリラとみられる大型類人猿の化石が見つかりました。諏訪元・東京大学教授ら、日本とエチオピアの研究グループが、二十三日発行の科学誌『ネイチャー』に発表しました。
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ゴリラが出現したのは八百万年前以後とされており、化石がゴリラであれば、出現時期が二百万年以上さかのぼることになり、チンパンジーの祖先と人類の祖先が分かれた年代の見直しにつながる可能性もあります。
化石は、エチオピアの首都アディスアベバの東約百七十キロメートルにある約一千万年前の地層から見つかりました。研究グループは、二〇〇五年からここで調査を開始し、〇六年の二月に犬歯一本を見つけ、今年の三月に臼歯八本を発見しました。これらの歯の持ち主は少なくとも三体、おそらく六体以上とみられています。
ゴリラは、植物の葉や幹など繊維質のものを食べるため、それらを効率よく寸断できるよう、臼歯のかみ合わせ部分の出っ張り(稜=りょう)が高くとがっています。見つかった臼歯には、現生のゴリラほどではないものの、こうした特徴がはっきり現れていたといいます。
諏訪教授は、「おそらく、ゴリラの系統で初期に現れたものだと思うが、歯に同じような特徴をもつ別の類人猿である可能性も否定できないので、今後、さらに多くの化石を見つけ検証していきたい」と話しています。
解説
人類出現 早まる可能性
現在、ゴリラの祖先と、チンパンジーや人類の祖先が分かれたのは六百万年前から八百万年前、また、チンパンジーの祖先と、人類の祖先が分かれたのは五百万年前から六百万年前と考えられています。遺伝学的な研究をもとに、オランウータンの祖先と、ゴリラやチンパンジー、人類の祖先が分かれたのが千三百万年前ごろだったとして求めたものです。
しかし、最近、六百万年前から七百万年前とされる人類祖先、初期の猿人の化石が相次いで発見されるなど、従来の考えでは説明しにくい状況が生まれていました。
諏訪教授は、「オランウータンの祖先と、ゴリラやチンパンジー、人類の祖先が分かれたのが千三百万年前ごろでなく、もっと前だった可能性がある。そうであれば、ゴリラやチンパンジー、人類が出現した時期は、従来の説よりも早まり、今回の発見と矛盾しなくなる」と話します。
ただ、諏訪教授自身が「現在見つかっている化石だけでは、研究者が従来の考えをがらっと変えるにはいたらないだろう」と語っているように、さらに多くの化石の発見が不可欠です。今後の調査と研究が期待されます。(間宮利夫)
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