2007年8月18日(土)「しんぶん赤旗」
地域別最賃 大詰め
目安答申にとらわれず 大幅アップを
各県労連が取り組み
中央最低賃金審議会で最低賃金の引き上げ目安が示されたのを受けて、各都道府県の最低賃金審議会で、引き上げ額を決める審議が大詰めを迎えています。全労連参加の各地方労連と春闘共闘では、今年こそ大幅引き上げをと取り組みをすすめています。
中央最低賃金審議会の目安で、六―七円とされたDランクの青森、秋田、岩手の三県労連は連名で、不十分な引き上げ目安にとらわれない金額改定を行うよう各県労働局長に申し入れました。
三県の最低賃金は六百十円。これでは生計費さえまかなえないとして県労連では七月末、六百十分のハンガーストライキを行うなど世論と運動を広げてきました。
岩手県労連の金野耕治事務局長は「中央の目安では、大幅引き上げを求める労働者の声にこたえておらず、格差をますます広げかねない」と指摘し、宣伝や運動を広げていくことにしています。
各地方の審議会では、全労連などの代表らが意見陳述しています。
奈良では、谷川和広民青同盟県委員長が意見陳述し、最賃と同じ時給六百五十六円で働く青年(24)の実態を紹介し、せめて千円に引き上げ、働くルールを守らせるようにすべきだとのべました。
陳述を聞いた人からは「青年の実態がわかるよい陳述だった」との反応が寄せられています。
大阪労連は、最低賃金水準で働く実態をまとめた「生活証言」を審議会に提出するなど運動を広げてきました。
審議会では、府立高校臨時職員が子ども二人を抱えたシングルマザーの生活実態を意見陳述し、「最低賃金を時給千四百円に」と訴えました。
青森では、自治労連・五所川原市職員労組の高橋保文さんが、県内の最賃では年収は百二十二万円にしかならないと訴えました。
山梨県労は、百円以上の大幅引き上げを促す目安答申を求める要請書を労働局と審議会に提出しました。
熊本県労連も、大幅引き上げを求める意見書を提出するなど、各地の県労連では、目安答申にとらわれず、生活実態をふまえた大幅引き上げを求めています。
大分県労連は、大幅引き上げと全国一律の最低賃金を求める署名運動に取り組んでいます。九日には大分市内で「全国最低ランクの水準の大分で、低額の引き上げは認められない」と訴えました。
奈良県で意見陳述にたった谷川さんは「十円上がっても生活はよくならない。もっと実態を知らせて最賃の大幅引き上げを必ず実現させたい」と話しています。
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