2007年8月18日(土)「しんぶん赤旗」

「政治とカネ」疑惑まみれの自民

“身体検査”合格の閣僚いなくなる?!

事務所費 いまだ説明なし


 故松岡利勝氏、赤城徳彦前農水相と閣僚の「政治とカネ」の問題が相次ぎ、参院選惨敗の大きな要因となったことから自民党は、内閣改造・党役員人事に際し、所属国会議員に、関連政治団体について「事務所費」を点検させる方針を決めました。いわゆる“身体検査”の徹底です。政治資金規正法の再「改正」も検討していますが、「これでは閣僚になれる人がいなくなる」との声があがるほど、政治資金に問題のある政治家だらけです。そのひどさを安倍内閣閣僚の「事務所費」で見てみると―。


 閣僚の資金管理団体などを二〇〇五年の政治資金収支報告書で調べてみました。

虚偽記載語る

 本紙一月三日付が火をつけた「事務所費」問題の核心は、家賃がただの議員会館に資金管理団体の「主たる事務所」を置きながら多額の事務所費を計上しているのはおかしい、ということでした。

 その一人、伊吹文明文部科学相は、四千百四十六万円で、松岡氏の三千三百五十九万円を抑えてトップでした。伊吹氏は、四千百四十六万円のうち、約千七百万円が東京・平河町と京都にある事務所の家賃としていますが、そのほかの約二千四百万円は何なのか―。

 国会で追及されて、伊吹氏は、▽選挙の準備活動と後始末に非常勤の職員を雇う▽秘書が後援会の人と食事する会食費▽地元(京都)の秘書の東京に行ったときの活動費―などと、本来、「事務所費」に計上すべきでないものを、組み入れていたことを、とくとくと語りました。これは、収支報告書の虚偽記載をみずから認めるものです。

 議員会館に資金管理団体の「事務所」を置いているのは、ほかに小池百合子防衛相(八百十二万円)、渡辺喜美規制改革担当相(四百十九万円)、菅義偉総務相(三百六十四万円)、尾身幸次財務相(三百二十四万円)の四人。それぞれ説明が必要です。

同居しながら

 資金管理団体と、みずからが支部長を務める政党支部が同居しているのは、山本有二金融担当相、溝手顕正防災担当相、高市早苗沖縄北方担当相、甘利明経済産業相ら六人です。

 このうち、甘利氏は、両団体あわせて千六百六十万円の「事務所費」を計上していますが、家賃、郵送代をのぞく約千四百二十万円の使途が不透明になっています。

 高市氏も、両団体あわせて二千二百四十五万円もの「事務所費」を計上。政党支部の「政党交付金使途等報告書」によると、家賃や駐車場代など使途が明らかになっているのは、四百七十五万円で、約千七百七十万円の使途が不透明です。

 自分のほかの政治団体と資金管理団体を同居させているのは、安倍首相、柳沢伯夫厚生労働相らです。

 安倍首相は、東京・平河町のマンション一室で、あわせて千九百万円の「事務所費」。柳沢氏も同じく平河町のマンション一室。資金管理団体は人件費のみの支出で、「柳沢伯夫後援会」が千五百十五万円の「事務所費」を計上しています。

 塩崎恭久官房長官は、東京・西新橋にある父親、塩崎潤元経企庁長官の個人事務所内に資金管理団体の「事務所」を置き、事務所費はわずか三十二万円です。

 麻生太郎外相の資金管理団体は、東京・永田町のビルが所在地で、二千九百三万円もの事務所費を計上しています。

 自民党は、すべての政治団体に、人件費を除くすべての経常経費(事務所費、光熱水費、備品・消耗品費)の領収書添付を義務付けるという政治資金規正法「改正」を目指す方針を決めたといいます。その前に、とかく表に出せない私的な支出を潜り込ませているのでは、と指摘されている「事務所費」について、閣僚みずから率先して領収書公開などをすべきでしょう。



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